知恵蔵2010の解説
鳥類間でウイルスにより感染する高病原性のインフルエンザ。1997年からアジア(インドネシア、タイ、ベトナム、中国など)で大流行し、養鶏場の鶏が大量に死滅して養鶏業者に大打撃を与える。日本でも2004年1月に山口県で発生し、以来大分、兵庫、京都などの各府県でも。鳥から人への感染力は弱いが、感染すると死亡率が極めて高い(感染死亡者:最大はインドネシア89人、 07年10月現在)。これまで、人から人への感染例はない。また、鶏肉や鶏卵を食べて人に感染した例もない。
(
的場輝佳関西福祉科学大学教授)
出典:(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2008」
ヒトのものとは異なるウイルスによって発症する鳥のインフルエンザで多数の亜型がある。特に強い病原性を示すものを高病原性鳥インフルエンザという。人畜共通感染症。世界保健機関の発表(2007年10月31日)によると、03年以降の感染確認者は12カ国333人、うち死者は11カ国204人にのぼる。人間の感染は東南アジアや中国に集中していたが、次第に中央アジア、西アジアにも拡大した。06年にはヨーロッパ、中東、アフリカでH5N1型ウイルスによる渡り鳥や家禽(かきん)類の死亡が確認されたが、それ以降にトルコやイラクの他、エジプト、ジブチ、ナイジェリアでも人間の感染と死者が発生した。日本では04年に山口県、大分県、京都府でH5N1型が、05年6月に茨城県でH5N2型が発生した。07年にも宮崎県と岡山県で合計4件の発生があったが、5月8日にはOIEの規定に従い清浄国となった。鳥インフルエンザは健康被害に加え、感染した鶏の殺処分、発生源周辺地域の鶏肉や卵の出荷停止、発生国からの鶏肉貿易停止など経済的にも多大な影響を及ぼす。
(
池上甲一近畿大学農学部教授
)
出典:(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2008」
デジタル大辞泉の解説
とり‐インフルエンザ【鳥インフルエンザ】
鶏・ウズラ・七面鳥など家禽を含む鳥類が感染するA型ウイルスによるインフルエンザ。人にも感染する。特に症状が強く、死亡率が高いものを高病原性鳥インフルエンザといい、家畜伝染病予防法による監視伝染病(家畜伝染病)に指定。人の場合は感染症予防法により4類感染症に指定。人から人への感染の可能性のある新型インフルエンザへの変異が懸念される鳥インフルエンザ(H5N1型)は指定感染症(感染症予防法)、検疫感染症(検疫法)に指定。学校感染症の一。→インフルエンザウイルス
朝日新聞掲載「キーワード」の解説
農林水産関係用語集の解説
A型インフルエンザウイルス感染による鳥類の疾病。
鳥インフルエンザのうち鶏等に高致死性の病原性を示すもの等を高病原性鳥インフルエンザと呼ぶ。
鶏等が感染すると、全身症状をおこし、神経症状、呼吸器症状、消化器症状等が現れ、大量に死亡することもまれではない。
なお、鳥インフルエンザウイルスは、生きた鳥との濃厚接触により人に感染した例が知られているものの、鶏卵、鶏肉を食べることにより感染することは報告されていない。
百科事典マイペディアの解説
A型インフルエンザウイルスの感染によって起こる鳥類の病気で,ニワトリなどの家禽に多く見られる。このうち感染した鳥類が死亡するなど全身症状のとくに強い病原性を示すものは高病原性鳥インフルエンザと呼ばれ,突然死のほか神経症状,呼吸器症状,下痢,産卵率低下,皮下出血などの症状を呈する。
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