鴫・鷸(読み)しぎ

精選版 日本国語大辞典 「鴫・鷸」の意味・読み・例文・類語

しぎ【鴫・鷸】

〘名〙 シギ科に属する鳥の総称。一般にくちばしと脚(あし)が長く、羽色は褐色に暗色の斑(ふ)のあるものが多い。大きさはヒバリシギのスズメ大からダイシャクシギのカラス大まである。翼は細長く、飛翔(ひしょう)力が強大で、日本には旅鳥として渡来し、ふつう河原・海岸の干潟(ひがた)や河口に群棲する。イソシギタマシギアオアシシギアカアシシギヤマシギなど種類が多い。《季・秋》
※古事記(712)中・歌謡「宇陀の 高城に 志藝(シギ)わな張る 我が待つや 志藝(シギ)は障らず いすくはし 鯨障る」
※新古今(1205)秋上・三六二「心なき身にもあはれはしられけりしぎ立つ沢の秋の夕暮〈西行〉」
[語誌](1)挙例の「古事記」の歌謡から、食用にするシギを罠で捕ったことが知られる。田にいるシギの飛び立つ羽音を詠むこともあるが(「万葉‐四一四」、「神楽歌‐大前張・猪名野」など)、和歌や物語では、「古今集‐恋五」の「しぎの羽根掻き」を踏まえて、女の閨怨の譬えに多く用いる。秋の題とするのは、「天喜五年八月禖子内親王歌合」(一〇五七)が最古である。
(2)「我門のおくてのひたにおどろきてむろのかり田に鴫ぞ立つなる〈源兼昌〉」〔千載‐秋下〕のころから飛び立つ姿を詠むようになるが、歌では鳴き声を詠むことは稀である。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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