朝日日本歴史人物事典 「鴻池善右衛門(3代)」の解説
鴻池善右衛門(3代)
生年:寛文7(1667)
江戸期の大坂の豪商鴻池善右衛門の3代目。宗利と称す。同家2代目喜右衛門之宗の長男,元禄8(1695)年,28歳で家督を相続。鴻池家の事業は,宗利が生まれたころには次第に大名貸専門の両替商経営に特化していたが,宗利はさらにこれを発展させ,元禄期においては,32藩と金融上の取引関係を持つに至り,これらの藩の蔵屋敷の掛屋・蔵元・立入に任ぜられた。大名貸経営は良好で,宗利の時代に鴻池は絶頂期を迎え,資産は寛文10(1670)年の銀204貫から,宗利の代の享保3(1718)年には銀3万8205貫と増加した。この蓄積をもとに,宝永2(1705)年からは旧大和川流域の新田開発に着手し(鴻池新田),地主経営にも乗り出した。享保1年に開始し,同17年に完成した宗利による「家定記録覚」はその後明治期まで同家の経営の方針を定める家訓となった。3代善右衛門は豪商鴻池家の盤石の基礎を固めた人物であったといえる。<参考文献>宮本又次『鴻池善右衛門』,安岡重明『財閥形成史の研究』
(宮本又郎)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報