鵜殿関(読み)うどののせき

日本歴史地名大系 「鵜殿関」の解説

鵜殿関
うどののせき

南北朝期から室町中期に設けられた淀川右岸の河関。貞治四年(一三六五)六月の重阿自栄月宛注文案(「鵜殿関問答引付」内閣文庫蔵)に「今広瀬」とみえ、「大乗院寺社雑事記」文明一五年(一四八三)九月一二日条に「鵜殿関」として「并陸地ハ号広瀬、号水霊也」とあるので広瀬ひろせ(現三島郡島本町)付近とも考えられ、鵜殿に南接する前島まえしま地内の小字殿関とする説(高槻市史)もある。成立時期は不詳だが、すでに康永三年(一三四四)には設けられており、同年一一月奈良興福寺衆徒らが鵜殿関の支配を要求して奈良春日社の神木金堂に奉じて強訴することがあった(「園太暦」同年一一月二〇日条)。当時はおそらく春日社に寄せられた河関であっただろうが、応永一三年(一四〇六)と考えられる四月一七日の諸関停廃の際、楠葉くすは(現枚方市)などとともに存続が図られようとしており(同日「泰信書状」御教書引付)、まもなく関務多武峯とうのみね(現奈良県桜井市談山神社)に移っている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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