鹿児島紡績所技師館〈異人館〉(読み)かごしまぼうせきじょぎしかん〈いじんかん〉

国指定史跡ガイド の解説

かごしまぼうせきじょぎしかん〈いじんかん〉【鹿児島紡績所技師館〈異人館〉】


鹿児島県鹿児島市吉野町にある西洋館跡。鳥越山を背にし、前面には桜島を望む地に所在。わが国最初の機械紡績工場に携わった外国人の宿舎跡であり、近代産業史上貴重な遺跡であることから、1959年(昭和34)に国の史跡に指定。幕末薩摩藩では最後の藩主となる第29代島津忠義が、洋式紡績工場の建設を計画し、1865年(慶応1)に19人の留学生をイギリスに派遣した際、新納久脩(にいろひさのぶ)、五代友厚(ごだいともあつ)を通じて紡績機械を購入し、機械の据え付けや操業指導のため英人技師7人を招聘。技師たちの宿舎は工場の西側に、建坪104坪(約344m2)余、白ペンキ塗り木造2階建ての西洋館として1867年(慶応3)に完工するが、技師たちは幕末の政情不安から、わずか1年の滞在で帰国。その後、技師館は大砲製造支配所となり、1877年(明治10)の西南戦争では薩摩軍の仮病院にもなった。さらに1884年(明治17)に建物は鶴丸城跡に移されたが、1936年(昭和11)に建物の価値が再認識され旧地の吉野町磯に移転した。JR鹿児島本線ほか鹿児島駅から鹿児島交通バス「異人館前」下車、徒歩すぐ。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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