鹿島万平(読み)かしま・まんぺい

朝日日本歴史人物事典 「鹿島万平」の解説

鹿島万平

没年:明治24.12.29(1891)
生年:文政5.10.6(1822.11.19)
幕末・明治前期の商人。日本初の民間の機械製綿紡績所・鹿島紡績所の設立者。江戸深川(東京都江東区)に米屋の次男として生まれた。嘉永2(1849)年から伝馬組木綿・繰綿問屋を開業し,開港後は外商への木綿売込問屋を営んだ。進取気概に富み,多くの事業に参画した。慶応3(1867)年,三井組に入り,生糸荷為替組合を組織,東京貿易商社,同箱館出張所などで活躍し,釧路では魚油,鰊絞粕の製造,昆布採取を行った。また,政府の命により通商司商社などを設立した。明治5(1872)年,協力者の脱落などの多くの試練を克服し,東京府滝野川村(東京都北区)に鹿島紡績所を開業。20年,東京紡績を設立し,鹿島紡績所を吸収。翌年,清国に北海道の海産物を輸出するため日本昆布会社を設立。<参考文献>絹川太一『本邦綿糸紡績史』1巻,土屋喬雄「滝野川鹿島紡績所の創立・経営事情」(『経済学論集』3巻10号)

(松本貴典)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「鹿島万平」の解説

鹿島万平 かしま-まんぺい

1822-1891 幕末-明治時代実業家
文政5年10月6日生まれ。嘉永(かえい)2年木綿・繰り綿問屋をひらき,横浜開港後は綿花貿易に従事。のち三井組にはいり,三野村利左衛門と生糸荷為替組合を組織する。明治5年民間初の近代的紡績工場の鹿島紡績所を東京滝野川に創設。また北海道釧路地方の開発に尽力した。晩年は紅葉亭鹿成の名で狂歌にしたしんだ。明治24年12月29日死去。70歳。江戸出身。

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