鹿茸(読み)ロクジョウ

デジタル大辞泉 「鹿茸」の意味・読み・例文・類語

ろく‐じょう【鹿×茸】

鹿しか袋角ふくろづのを乾燥したもの。漢方増血・強精剤などに用いる。

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精選版 日本国語大辞典 「鹿茸」の意味・読み・例文・類語

ろく‐じょう【鹿茸】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 鹿の袋角(ふくろづの)初夏、角の落ちたあと、新しく生えて瘤のようになったもの。補精強壮剤として珍重される。《 季語・夏 》
    1. [初出の実例]「鹿茸を鼻にあてて嗅ぐべからず。小さき虫ありて、鼻より入りて脳を食むといへり」(出典:徒然草(1331頃)一四九)
  3. ろくじょうどうふ(六条豆腐)雍州府志(1684)〕

しし‐たけ【鹿茸】

  1. 〘 名詞 〙 きのこ「こうたけ(革茸)」の異名。《 季語・秋 》
    1. [初出の実例]「かうたけ に物。茶ぐし。鹿たけともいふ」(出典料理物語(1643)六)

しか‐たけ【鹿茸】

  1. 〘 名詞 〙 きのこ「こうたけ(革茸)」の異名。〔大和本草(1709)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「鹿茸」の意味・わかりやすい解説

鹿茸
ろくじょう

神農本草経(しんのうほんぞうきょう)』の中品(ちゅうほん)に収載されている漢薬。シカ科のマンシュウアカジカCervus elaphus L. var. xanthopygus Milne-EdwardsおよびマンシュウジカC. nippon Temminck var. mantchuricus Swinhoeなどの雄のまだ角化していない、もしくはわずかに角化した幼角(袋角(ふくろづの))を乾燥したもので、古来から強壮、強精、鎮痛薬として多くの病気に応用されてきた。含有する成分としてはコラーゲンリン酸カルシウム炭酸カルシウムタンパク質などがあげられる。なお、卵胞ホルモンエストロン)を含むという報告も出されている。

[難波恒雄・御影雅幸]

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動植物名よみかた辞典 普及版 「鹿茸」の解説

鹿茸 (シカタケ)

植物。イボタケ科のキノコ,園芸植物コウタケ別称

鹿茸 (シカダケ・シシダケ)

植物。ハリタケ科のキノコ。ハリタケの別称

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世界大百科事典(旧版)内の鹿茸の言及

【シカ(鹿)】より

…江戸後期の儒学者羽倉簡堂の《饌書》によれば,鹿は冬が美味で,胸肉がもっともよく後肢がこれにつぐとされ,料理としてはすき焼風のなべ料理が歓迎されるようになっていた。なお,鹿の角,とくに袋角は鹿茸(ろくじよう)といって薬用とされた。鹿茸は粉末にして眼科に用いるとされるが,補精強壮剤にもされたようである。…

※「鹿茸」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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