家庭医学館 「黄熱(黒吐病)」の解説
おうねつこくとびょう【黄熱(黒吐病) Yellow Fever】
黄熱ウイルスが感染しておこる病気で、ネッタイシマカ(熱帯縞蚊(ねったいしまか))が媒介(ばいかい)します。南米(ブラジル、ボリビア、ペルー、ベネズエラなど)、アフリカ(アンゴラ、カメルーン、ガーナ、コンゴ民主共和国、ナイジェリア)などがおもな流行地ですが、ときに中南米や南欧で流行をみることもあります。
悪性の伝染病です。
[症状]
潜伏期は、2~6日です。寒けとともに高熱が出て、頭痛、腰痛、手足の痛み、嘔吐(おうと)などがおこります。
3~4日で症状が軽くなり、そのまま治ることもありますが、再び発熱して、黄疸(おうだん)、皮下出血(ひかしゅっけつ)、歯肉出血(しにくしゅっけつ)、黒色の嘔吐(黒吐病という病名の由来)などがおこることがしばしばです。
発病から7~8日で治癒(ちゆ)に向かうのがふつうですが、重症の場合は、無尿、心不全(しんふぜん)、肝性昏睡(かんせいこんすい)などにおちいり、約10%の人が、第1病週の後半に死亡します。
[治療]
特効薬はないので、症状に応じた治療をします。
流行地では、蚊に刺されないように厳重に予防します。有効な予防接種があるので、流行地へ行くときは接種を受けましょう。