2・26事件

山川 日本史小辞典 改訂新版 「2・26事件」の解説

2・26事件
に・にろくじけん

1936年(昭和11)2月26日におきた陸軍部隊の反乱事件。第1師団の歩兵第1・第3連隊主力とした将校・下士官・兵1485人が,岡田啓介首相(生存),斎藤実(まこと)内大臣(即死),高橋是清蔵相(即死),鈴木貫太郎侍従長(重傷),渡辺錠太郎教育総監(即死),牧野伸顕前内大臣(生存)を襲撃し,永田町・三宅坂一帯と日本の政治・軍事の中枢部を4日間占拠した。26日早朝,反乱軍将校が川島義之陸相に読みあげた「蹶起趣意書」「陸軍大臣要望事項」で首相以下の襲撃の理由,軍政への具体的要求がのべられた。陸軍最高首脳の将軍たちは26日午後に宮中で「大臣告示」を作成して反乱軍に伝えるとともに,27日東京に戒厳令を公布して反乱軍への説得を試みたが失敗,地方の連隊を上京させて反乱軍を包囲した。29日午後に反乱軍は帰順し,特設軍法会議で裁かれた。同年7月5日に判決が下り,死刑17人,無期禁錮5人。下士官も15人が有期刑となり,民間人の北一輝・西田税(みつぎ)も死刑となったほか,地方連隊の将校からも有期刑者がでた。元老・重臣・軍閥官僚政党君側奸臣だから誅滅し,国体擁護開顕による天皇親政の日本を現出するという反乱軍の願いや意図は無視され,敗退した。軍部は粛軍人事で皇道派を一掃し,反乱が示した軍の武力無言威嚇として,しだいに日本の政治権力を独占していった。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

今日のキーワード

自動車税・軽自動車税

自動車税は自動車(軽自動車税の対象となる軽自動車等および固定資産税の対象となる大型特殊自動車を除く)の所有者に対し都道府県が課する税であり、軽自動車税は軽自動車等(原動機付自転車、軽自動車、小型特殊自...

自動車税・軽自動車税の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android