地球温暖化によって国土が水没の危機にある国や地域で構成する小島嶼(とうしょ)国連合。正式名称はAlliance of Small Island States。地球温暖化問題が国際会議で取り上げられるようになった1990年に設立された。ツバル、ナウル、バヌアツなど珊瑚礁(さんごしょう)でできた小規模な島国のほか、キューバ、パプア・ニューギニア、シンガポールなど沿岸部の海抜が低い国など44か国・地域(うちグアムなど5地域はオブザーバー)が参加し、すべての国・地域への温室効果ガスの削減目標の設定などを求めている。具体的には、世界の年平均気温の上昇を1.5度以下に抑える目標を実現するため、気候変動に関する情報収集、分析、国際社会への提言を行っている。また、1997年(平成9)の京都議定書の草案作成に参加したほか、先進国の温室効果ガス排出量の削減目標の引き上げ、世界の森林伐採の中止、気候変動に伴う被害や損害に対する支援などを要求している。
二酸化炭素など温室効果ガスの増加によって、地球規模で気候が変動し、南・北極の氷床の融解や海水の膨張などにより、海面水位が上昇すると予想されている。とくに海抜の低い小島嶼国などは、国土の浸水、侵食のほか、高潮、暴風、地下水の海水化などの危機にさらされている。これらの国・地域は資金や技術が十分でないうえ、遠隔地に点在するなど地理的に不利な条件もあるため、1992年の地球サミット(環境と開発に関する国連会議)を前に、国際会議での足並みをそろえるためにAOSISが結成された。
[編集部]
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