デジタル大辞泉
「BRICS」の意味・読み・例文・類語
ブリックス【BRICS】[Brazil, Russia, India, China, South Africa]
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BRICS
ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの5カ国の総称。2009年、南アを除く4カ国で初の公式首脳会議 を開き、11年から南アも参加した。23年8月の首脳会議で、新たに6カ国を迎えることに合意。後に加入を取りやめた一部の国を除き、24年1月からイラン 、エジプト 、アラブ首長国連邦 (UAE)などが加わり、拡大体制が始動した。
更新日:2024年4月11日
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BRICS ぶりっくす
経済成長著しいブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ共和国の5か国をさす造語。5か国の英語の頭文字をとってBRICS(ブリックス )とよばれる。アメリカの証券会社ゴールドマン ・サックス のエコノミスト であったジム・オニールJim O'Neill(1957― )が2001年、投資家向けレポートで21世紀は巨大人口を抱える国々が高い成長を遂げると予測し、これを基にブラジル、ロシア、インド、中国の4か国の総称としてBRICs(sは複数形)と命名した。2011年には、南アフリカ共和国が加わりBRICSとなった。5か国で世界人口の約4割強、世界の国土の約3割、世界の国内総生産 (GDP )の4分の1を占める。ゴールドマン・サックスは2050年には、国内総生産(GDP)で中国がアメリカを抜いて世界1位となり、インドが3位、ブラジルが5位、ロシアが6位になると予測しており、BRICSは有力な投資先、人件費 などが安い世界の工場地帯、巨大な消費地、豊富なエネルギー・資源を埋蔵する資源国として注目されている。
BRICS5か国は欧米主導の国際秩序や外交関係に対抗するため、2009年に初の首脳会議を開き、経済・外交・環境面などで協調する外交グループを形成。2014年、第二次世界大戦後の世界経済・国際金融を支えてきた国際通貨基金 (IMF )・世界銀行(国際復興開発銀行 )体制とは一線を画す、新開発銀行 (BRICS銀行 )の設立を決め、新興・途上国のインフラ整備などへの金融支援を始めた。2023年には、エチオピア 、エジプト、イラン、サウジアラビア 、アラブ首長国連邦(UAE)の新規加盟で合意、BRICS5か国を中心にグローバルサウス とよばれるこれら新興諸国を加えた外交グループ「BRICS+(プラス)」を誕生させた。脱米ドル・自国通貨の利用拡大、共通通貨の導入などを目ざしている。しかし、欧米との関係では加盟国間に立場の違いがあるほか、中東紛争やインドと中国がカシミール国境問題で対立するなど、かならずしも一枚岩 とはいえず、加盟国増で意思決定がむずかしくなっている。
[矢野 武 2024年3月19日]
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知恵蔵
「BRICS」の解説
BRICs
ブラジル(Brazil)、ロシア(Russia)、インド(India)、中国(China)の頭文字をつなげた造語。4カ国は合計で世界人口の4割、国土面積の3割を占め、近年、急激な経済成長をとげている。2003年に米証券会社ゴールドマン・サックスがレポートで、急成長する「新興市場 」という観点からこの語を用いて「2039年にはBRICsの経済規模は米日独仏英伊の合計を抜く」と予測し、広く使われるようになった。もちろん4カ国にはそれぞれ構造的な問題があり、成長が単線的に持続するのか、予断を許さないが、BRICsの重要性は次の点にある。(1)長らく米欧日が主導してきた国際経済政策は、BRICs抜きでは機能しなくなり、G7サミットはロシアを加えG8となったのに加え、G8は、ここ数年BRICsおよび南アフリカ、メキシコ などを招き、協調によって政策の実効性を確保しようとしている。(2)BRICsは国際政治面でも影響力を増しており、ブラジルは南米で、インドは南アジアで、ロシアはユーラシア で、中国は東アジアで、それぞれ地域大国として重きをなし、欧米の優位、特に米国の一極支配からの自立性を高めようとしている。そこには多国間協調の必要が増すというプラス面があるが、他方、例えばパキスタン が地域大国インドに対抗して核兵器を開発するなど、核拡散、テロリストへの近代兵器や大量破壊兵器の拡散というマイナス面がある。(3)BRICsは4カ国に限らず1つの世界的潮流を示す点でも重要である。それは、米国の一極支配が行き詰まり、国際政治が多元化する傾向の代表例だからである。BRICs4カ国が構成する国際組織はないが、ロ中が基軸の上海協力機構にインドなどがオブザーバー 参加するなど、BRICs相互間で連携を強め、米国を牽制する動きも模索されている。また南米でも、ベネズエラなどが自立的地域協力を追求している。(4)BRICsの経済的台頭は、米欧日に限らず、世界の飛躍的に多くの人々が豊かさを享受する時代の到来を示す。だが他方で、資源と環境面での制約は一層厳しくなる。例えば中国とインドのエネルギー需要が急増し、原油価格高騰の一因となっている。以上のようにBRICsは米欧日の先進国中心の世界経済秩序の多極化・多元化傾向と、地球的問題の拡散・深刻化という、世界的潮流を示している。
BRICs
中国と、それに続いて成長軌道に乗った新興諸国を一括した呼称。ブラジル(B)、ロシア(R)、インド(I)、中国(C)の頭文字を並べた新語で、米証券会社のゴールドマン・サックス社が2003年10月に投資家向けのリポートに使ったことから広まったといわれている。その点では、「新興市場」という言葉の起源と類似している。同リポートでは、この4カ国は02年の名目GDPを合計しても、米国の4分の1に過ぎないが、39年までに先進6カ国(米、日、独、仏、英、伊)の合計を上回るとした。インドはIT技術の強みを生かし、米企業からの業務委託を伸ばしてきた。ロシアは経済の好調を背景に、中国に続いてWTO加盟を目指している。しかし中国については、経済過熱からバブルの発生を指摘する声も少なからずあり、北京オリンピック、上海の万国博が終わった後に、安定成長に移行するかどうかは予断を許さない。また、インドでは、中国と同じように、経済成長から取り残された階層への対処が課題となっている。ロシアやブラジルは、アジア通貨危機の直後に、対外債務の累積から通貨金融危機を経験したことがあり、楽観論に対して警戒論もある。
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BRICS ブリックス
ブラジル ,ロシア ,インド ,中国 ,南アフリカ共和国 の 5ヵ国を指す造語。アメリカ合衆国の証券大手ゴールドマン・サックスが 2001年にブラジル,ロシア,インド,中国の 4ヵ国の英語の頭文字をとった「BRICs」の急速な経済発展を予測するレポートを発表し,新興国の代名詞として広まり,のちに南アフリカが加えられた。BRICs 4ヵ国は安価な労働力や天然資源が豊富なことに加え,1990年代頃から経済改革が進み,潜在的な成長力が高まった。名目国内総生産 GDPの合計が世界経済に占める比率は,2010年に約 18%と 2000年からほぼ倍増した。中国の名目GDPは 2010年に日本を抜いて,アメリカに次ぐ世界第2位の経済大国に躍り出た。特に 2008年の世界的な金融危機「リーマン・ショック」で先進国が不況に陥るなか,4ヵ国は影響が比較的軽く,世界経済の回復を牽引したため,存在感が一段と大きくなった。4ヵ国は 2009年から毎年首脳会議を開催し,南アフリカが 2011年から参加,発言力拡大をはかっている。金融危機後に定期的に開かれるようになった G20サミット(主要 20ヵ国・地域首脳会議)にも BRICS 5ヵ国が名を連ねる。一方,近年はインフレーション に悩まされて成長にかげりも出てきている。また,これまでの高成長のひずみとして経済格差の拡大といった問題にも直面している。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
BRICs【ブリックス】
経済発展が目覚ましいブラジル ,ロシア ,インド ,中華人民共和国 の新興国。これら4ヵ国の頭文字を並べた造語で,米国の証券会社ゴールドマン・サックス社が2003年10月に発表した投資家向けレポートで使用したのが最初。これらの国々は,広大な国土,豊富な天然資源,膨大な労働力(人口)を持つ点が共通しており,上記のレポートでは2050年の国内総生産(GDP)の世界順位を中国,アメリカ,インド,日本,ブラジル,ロシアと予測している。新興国の台頭はエネルギー需要を促し,原油価格の高騰や世界的な食糧不足をもたらしている。
出典 株式会社平凡社 百科事典マイペディアについて 情報
BRICs
今後、成長が見込まれる、ブラジル、ロシア、インド、中国、の頭文字を合わせた総称。
これらの国々の株式や債券などに投資するBRICsファンドなどがある。
出典 (社)投資信託協会 投資信託の用語集について 情報