BodySharing技術(読み)ぼでぃーしぇありんぐぎじゅつ

知恵蔵 の解説

BodySharing技術

ユーザーの身体情報を、ロボットVRAR上のキャラクターに伝えたり、逆にロボットやキャラクターからの信号触感や身体感覚として、ユーザーが感じ取ったりすることができる技術。VR(Virtual Reality 仮想現実)は、仮想空間で現実のような体験ができる技術や機器を意味し、AR(Augmented Reality 拡張現実)は、現実の世界に、コンピューターグラフィックス(CG)などで作った仮想現実を反映させる技術などを指すが、BodySharing技術は、これらと人の体を結びつけるための技術である。
これまでのVRやARでは、視覚聴覚で、現実の世界とは異なる空間を体験することはできるものの、空間の中にある仮想の物体を動かす際には、ゲームコントローラーなどのボタンで操作する必要があった。しかし、BodySharing技術では「触覚」を実現することができ、自らの手でVRやAR上の物体に触れる感覚があり、操作もできる。
BodySharing技術では、特に東京のH2L社が有名だ。同社が開発した製品には「FirstVR」「UnlimitedHand」「PossessedHand」などがある。
「FirstVR」は、前腕に装着して筋肉の動きを読み取ることができるコントローラーと、スマートフォンを装着して使用するゴーグルがセットになったVRデバイスで、VRやARアプリケーションを手で操作することができる。「UnlimitedHand」は、電気刺激によって手指を操作する技術を応用した、触感型インターフェースであり、例えば、仮想空間上の鳥が指に乗ったとき、指を動かすことで、鳥が指に乗っている感覚を仮想的に感じることができる。そして、「PossessedHand」は、電気刺激によって手指を制御するデバイスであり、このデバイスを装着した人の手指を外部からコントロールすることができる。
2019年1月9日、NTTドコモとH2L社は、5G(第5世代移動通信方式)とBodySharing技術を活用した新サービスの創出に向け連携すると発表した。今後は、5Gが持つ、高速、大容量、低遅延などの特徴を生かし、遠隔地にいる人の、視覚、聴覚、触覚などの感覚をリアルタイムに体験したり、ロボットなどの制御や操作を安全に行ったりするといったBodySharing技術によるサービスが期待される。

(横田一輝 ICTディレクター/2019年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報