CCS(読み)シーシーエス

デジタル大辞泉 「CCS」の意味・読み・例文・類語

シー‐シー‐エス【CCS】[Carbon Dioxide Capture and Storage]

Carbon Dioxide Capture and Storage温室効果ガス二酸化炭素分離回収し、深海地中貯留する技術。大気中の二酸化炭素濃度上昇を抑制する技術の一つで、地球温暖化対策の一環として研究・開発が行われている。二酸化炭素の排出量が多い石炭火力発電所にCCSを適用してゼロエミッション化を目指すプロジェクトが、日本を含めて世界各国で検討・開発されているが、コスト生態系への影響、貯留した二酸化炭素の漏出など検討課題も多い。二酸化炭素を分離・回収して有効利用するCCUと合わせて、CCUS総称される。炭素隔離貯留技術。二酸化炭素の分離・回収、貯留技術。

シー‐シー‐エス【CCS】[coded character set]

coded character set》⇒符号化文字集合

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

共同通信ニュース用語解説 「CCS」の解説

CCS

石炭火力やガス火力発電所、工場などから排出される二酸化炭素(CO2)を触媒などを使って分離し、陸や海底の地下深くに圧力をかけて注入してためる技術。英語の「Carbon dioxide Capture and Storage(二酸化炭素の回収と貯留)」の頭文字を取った。政府有識者会議は2030年までに年間600万~1200万トン、50年に同1億2千万~2億4千万トンの貯留を目標に掲げる。国内だけでなく、海外での実施を「有力な選択肢」と位置付けている。

更新日:

出典 共同通信社 共同通信ニュース用語解説共同通信ニュース用語解説について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「CCS」の意味・わかりやすい解説

CCS(二酸化炭素の回収・貯留技術)
しーしーえす

二酸化炭素(CO2)の回収・貯留技術のこと。Carbon dioxide Capture and Storageの略。発電所や工場等から排出されるCO2を分離・回収し、地層(海底地下層を含む)に貯留する技術の総称である。技術的には、大きく分けて、CO2の分離・回収、輸送、圧入・貯留の3段階からなる。分離方法には、化学吸着法、物理吸収法、膜分離法等、貯留方法には、地中隔離法、海洋隔離法等がある。

 CCSは、気候変動対策を強化し、CO2の大幅削減を実施しようとする場合、どうしても不可欠となる技術の一つ、とみられるようになっている。省エネルギーを推進し、再生可能エネルギーや原子力などの非化石エネルギー利用を拡大しても、どうしてもCO2排出をゼロにすることがむずかしい分野があり、その排出を処理するため、CCSに大きな期待が寄せられるようになっているからである。

 しかし、CCSには、きわめて高いコストがかかり、石油生産の際に、CO2を地中に圧入し、石油の粘性を低くして増産する石油増進回収Enhanced Oil Recovery(EOR)に使うことで、CCSの採算性を高めようとする取組みを除けば、CCS単独では採算がとれない、という問題がある。また、貯留したCO2がふたたび漏出しないか、安定的に貯留できるか、という技術的な課題もある。また、これらの課題への懸念があるため、社会的受容性を確保できるか、という問題もある。しかし、世界で脱炭素化への取組みが急速に加速するなか、CCS技術の必要性にかんがみ、CCSのコスト削減等の取組みが進められている。また、脱炭素化のための重要な手段としてCO2フリーの水素アンモニアへの期待も大きく高まっているが、化石燃料からCO2フリー燃料を製造する場合には、CCSが不可欠になる。この点でもCCSは重要な役割を果たすことが期待されている。

[小山 堅 2022年1月21日]


CCS(子ども療養支援士)
しーしーえす

子ども療養支援士

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「CCS」の意味・わかりやすい解説

CCS
シーシーエス
command and control system

情報の取得,伝達,処理の方式,指揮命令の決定,伝達の方式を体系化したもの。指揮管制体系と訳される。今日ではこれに通信 communication,コンピュータ computer,情報 intelligence,監視 surveillance,偵察 reconnaissanceを加え,C4ISRと呼ぶ。かつてはモールス符号の電信(暗号,平文)と音声電話による通信によって,手動で作図を行ない,敵情を判断して,作戦を決定し,所要の命令を同様の通信方法で所要の向きに伝達した。今日では防空におけるアメリカ合衆国とカナダの協同監視システム JSS(→セージ SAGE)や日本の自動警戒管制システム JADGE(→自動警戒管制組織 BADGE)のように,データ通信,表示の自動映像化,コンピュータの全面的利用などによって自動化され,情報,命令の速達,処理の迅速化,大量化および錯誤の防止がはかられている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のCCSの言及

【石炭】より

…流体化が普及すれば,コールチェーンの構成やコールセンターの機能も,より効率的なものになるはずである。中小規模の消費者が,石炭を石油と同じ扱いやすさで使えるようにするために,基地で乾燥微粉炭をつくり,容器やタンクローリーで消費先に届け,帰りには灰を引き取ってくるという〈コール・カートリッジ・システムcoal‐cartridge‐system(CCS)〉も開発中である。 石炭の利用は,今後のエネルギーと原料の需要増大に対して,その大きな部分をまかなってゆくことになる。…

【炭酸塩補償深度】より

…さらにCCDはかなり広域にわたる個々の海域で一定であるが,海洋全体としてみると大洋の中央部では深く(水深5~5.5km),大陸周縁では浅く(水深約3km),最大起伏約2kmもある一つの面である。これを炭酸塩補償面(CCS)と呼ぶ。そして,この面と海底地形面との交線を炭酸塩線と呼ぶ。…

【企業内教育・訓練】より

…第1期は,終戦直後のアメリカ式経営管理訓練の導入期である。1948年,占領軍の指導のもとに,経営幹部層に対するCCS講座(占領軍司令部内のcivil communication sectionが導入した)から始まり,中間管理者層に対するMTP(management training program。アメリカ極東空軍内で開始),現場第一線監督者に対するTWI(training within industry。…

【石炭】より

…流体化が普及すれば,コールチェーンの構成やコールセンターの機能も,より効率的なものになるはずである。中小規模の消費者が,石炭を石油と同じ扱いやすさで使えるようにするために,基地で乾燥微粉炭をつくり,容器やタンクローリーで消費先に届け,帰りには灰を引き取ってくるという〈コール・カートリッジ・システムcoal‐cartridge‐system(CCS)〉も開発中である。 石炭の利用は,今後のエネルギーと原料の需要増大に対して,その大きな部分をまかなってゆくことになる。…

【炭酸塩補償深度】より

…さらにCCDはかなり広域にわたる個々の海域で一定であるが,海洋全体としてみると大洋の中央部では深く(水深5~5.5km),大陸周縁では浅く(水深約3km),最大起伏約2kmもある一つの面である。これを炭酸塩補償面(CCS)と呼ぶ。そして,この面と海底地形面との交線を炭酸塩線と呼ぶ。…

※「CCS」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

仕事納

〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...

仕事納の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android