Caplan症候群

内科学 第10版 「Caplan症候群」の解説

Caplan症候群(悪性関節リウマチ)

(3)Caplan症候群
概念
 1953年, CaplanはRAを罹患した炭鉱労働者に,胸部X線上,進行性の線維化を示す通常のじん肺症とは異なる多発性で境界明瞭な円形の特徴的な結節影を呈する症例を記載した.その後,RA症例においてじん肺刺激により,病理組織学的にリウマトイド結節類似の肉芽腫性病変による多発性結節影を肺に認める場合をCaplan症候群とよぶ.
病理
 肺の結節性病変は,中心に類壊死部を認め,周囲にマクロファージ,リンパ球が柵状に配列し,リウマトイド結節類似の所見であるが,粉塵がリング状にみられる.
臨床症状
 肺の多発性結節陰影が出現しても,通常は無症状で,肺機能検査にも異常はない.基礎に合併している塵肺症に伴う呼吸器症状を認める場合がある.
 胸部X 線所見上の特徴は直径0.5 cm~数 cmの結節影は全肺野にみられるが末梢優位に分布する.結節は癒合しより大きな結節を形成する場合もあり,また,空洞形成や石灰化する場合もある.結節は出現後数週間~数カ月で増大し,最大径に達する.その後,多年に渡って無変化で持続するが,瘢痕を残し消失する場合もある.
治療
結節性病変自体に対する治療は必要なく,RA関節炎に対する治療に変更の必要はない.急速に増大する結節に対してステロイド薬が有効だったとの報告がある.[鈴木康夫]
■文献
Screiber J, et al: Rheumatoid pneumoconiosis (Caplan’s syndrome). Eur J Intern Med, 21: 168-172, 2010.

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

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