国際調査報道ジャーナリスト連合The International Consortium of Investigative Journalistsの略称。ワシントンを拠点とする非営利の調査報道機関、センター・フォー・パブリック・インテグリティ(The Center for Public Integrity:CPI)の国際報道部門。1997年にCPIのプロジェクトの一つとして発足した。ウォッチドッグ・ジャーナリズム(マスコミによる権力の監視機能を重視した報道活動)を主眼に、政治や軍事、汚職、犯罪ネットワーク、環境汚染など、国境を越える多くの問題に焦点をあて調査報道を行っている。ICIJは世界65か国以上、190余りの報道機関と提携した国際ネットワークを構築しており、これらの報道記者とともに、データジャーナリストや弁護士などの専門家チームを編成し、公文書調査やファクトチェックなどを含め国際調査にあたっている。事務所はワシントン(CPI内)。
これまでにICIJは、多国籍のたばこ企業や暴力団組織による密輸の暴露、民間軍事会社による違法カルテルや気候温暖化ロビイストの活動、イランやアフガニスタン戦争での武器契約の調査などを手がけている。日本では、2012年(平成24)に死体から集められた皮膚や骨などの組織が医療用材料として国際取引されている実体が、ICIJの取材によって明らかになり、朝日新聞社を通じて報じられ、大きな話題をよんだ。また、2016年に公開されたパナマ文書は、南ドイツ新聞(ジュートドイッチェ・ツァイトゥンク)とICIJが協力して秘密ファイルを分析し、タックス・ヘイブン(租税回避地)を利用した巨額の税逃れが疑われる21万件余りの企業情報を発表したもので、一大スクープとして国際社会を揺るがせた。
ICIJではこのような調査報道の一方で顕彰活動も行っており、国際的な問題に関する報道活動を対象に、優れたジャーナリストや取材チームを表彰する、『ウォールストリートジャーナル』の記者名を冠したダニエル・パールDanie Pearl(1963―2002)賞を授与している。
[編集部 2017年2月16日]
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