MOX(モックス)(読み)モックス

化学辞典 第2版 「MOX(モックス)」の解説

MOX(モックス)
モックス

mixed oxide fuelの略称原子炉用核燃料の一種.混合酸化物燃料.UO2とPuO2の混合物.原子炉のタイプによって混合比,濃縮比が異なる.高速増殖炉用のものは,プルトニウム239Pu 約20% 濃縮,ウラン劣化ウランを用い,235U が0.3% 程度に減損しているものを使う.軽水炉用の場合は,235U > 1%,239Pu 約3%(BWR),235U 0.2%,239Pu 約6%(PWR)などである.Pu含有率は13% 以下.MOX燃料の加工費用はウラン燃料の3~5倍と割高であるが,ウラン採鉱,濃縮費用が不要のため,燃料の費用全体としてはほぼ同程度とされている.ヨーロッパでは,1960年代から軽水炉で実際に使用された実績がある.再処理で抽出されたプルトニウムを使用するのでウラン資源の利用効率を高める,安定した核燃料供給源の確保などの利点があるが,加工コスト,プルトニウム使用に対する一般的不安感などから,いまだ広くは用いられてはいない.わが国では,2010年度までに16~18基の発電炉でMOX燃料導入の計画があるが,実施は遅れている.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

今日のキーワード

自動車税・軽自動車税

自動車税は自動車(軽自動車税の対象となる軽自動車等および固定資産税の対象となる大型特殊自動車を除く)の所有者に対し都道府県が課する税であり、軽自動車税は軽自動車等(原動機付自転車、軽自動車、小型特殊自...

自動車税・軽自動車税の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android