MSH(読み)エムエスエッチ

改訂新版 世界大百科事典 「MSH」の意味・わかりやすい解説

MSH (エムエスエッチ)

メラニン細胞刺激ホルモンmelanocyte-stimulating hormoneの略。動物の脳下垂体から,α,βおよびγの3種類のMSHが分離されている。α-MSHは,下等脊椎動物色素沈着作用をもつホルモンとして早くから知られているホルモンで,13個のアミノ酸からなり,その配列ACTHN末端1~13に一致する。ただ,ヒト成人ではα-MSHは存在しない。これまでヒトにおいてメラニン細胞刺激作用をもつホルモンとしてβ-MSH(アミノ酸22個)が提唱されてきたが,最近の検討によれば,この物質は抽出操作中にβ-リポトロピンから生じた人工産物であることが判明した。したがって,ヒトの場合には,メラニン細胞刺激作用をもつホルモンはβ-リポトロピンとACTHである。γ-MSHは,最近ACTHとβ-リポトロピンの共通前駆体の一部を構成するホルモンとして発見されたが,まだそのホルモンとしての役割は明らかにされていない。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

化学辞典 第2版 「MSH」の解説

MSH
エムエスエッチ

melanocyte stimulating hormoneの略称.[同義異語]メラノトロピン

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

内科学 第10版 「MSH」の解説

MSH

melanocyte-stimulating hormone,メラニン細胞刺激ホルモン

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

世界大百科事典(旧版)内のMSHの言及

【リポトロピン】より

…単鎖のポリペプチドで,91個のアミノ酸からなるβ‐リポトロピンと,そのアミノ末端側の1~58番の58個のアミノ酸からなるγ‐リポトロピンとがある。これまで,ヒトにおいてメラニン細胞刺激作用をもつホルモンとしてβ‐MSHが提唱されてきたが,現在では,β‐MSHは抽出操作中にβ‐リポトロピンから生じた人工産物であると考えられるようになった。β‐リポトロピンは弱いながらも色素沈着作用をもつ。…

【脳下垂体】より

…中間部が発達しているのは魚類や両生類である。これらの動物では,ここからメラニン細胞刺激ホルモンmelanocyte‐stimulating hormone(黒色素胞刺激ホルモン,MSH)が分泌される。これらの動物は暗い所ではこのホルモンの分泌が促され,このホルモンが皮膚のメラニン細胞に働き,のメラニン顆粒を細胞の突起内に拡散させるので,体色が黒くなる。…

※「MSH」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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