携帯大手各社の通信設備を借りてサービスを展開する事業者。多額の設備投資が必要ない上、広告宣伝費などを抑えることで大手各社より割安な利用料金を打ち出すことができる。楽天やイオン、無料通信アプリのLINEなどさまざまな業種からの参入が相次いでいる。MVNOの契約数は伸びているが、全体に占める割合は2016年3月時点では、1割に満たない。
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携帯電話などの移動体通信事業で、自前の通信インフラをもたず、他の事業者から借りて、独自ブランドや料金体系で通信サービスを提供する事業者。Mobile Virtual Network Operatorの略で、日本では「仮想移動体通信事業者」と訳される。基地局や光ファイバー網などを保有しないため「仮想」とよばれる。通信インフラをもつ事業者(MNO:Mobile Network Operator)のような巨額の通信設備投資や電波免許が不要のため、異業種やベンチャー企業が新規参入しやすい。実際に利用する場合、スマートフォンやタブレットなどの端末に、MVNOから提供されたSIM(シム)カードを差し込んで利用するが、SIMカードを差し込んだ端末をセット販売するMVNOもある。利用者には、低料金での利用や多様なサービスを享受できる利点がある一方、通信速度が遅く、やりとりできるデータ量が限られるという欠点がある。MNOから通信インフラを借りる事業者を1次MVNO、MVNOから回線を借りる事業者を2次MVNOという。
1999年にイギリスのバージン・グループが携帯電話市場に参入するため世界初のMVNOとなり、その後、ヨーロッパ、アメリカ、オーストラリア、東南アジアで数多くのMVNOが誕生した。日本では2001年(平成13)、日本通信が当時のDDIポケット(のちのワイモバイル。現、ソフトバンク)のPHSデータ通信網を利用し、b-mobile(ビーモバイル)ブランドでサービスを開始した。その後、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、UQコミュニケーションズといったMNOから回線を借り、データ通信や通話サービスを提供するMVNOが続々と誕生し、2017年6月時点で事業者数は713に達している。「格安スマホ」とよばれる低料金で通信サービスを提供する事業者が現れたほか、通信機能のついた電気ポットの使われ方から独居高齢者の安否を見守る象印マホービンのサービス、車に通信機器を搭載しカーナビゲーションの地図更新や音楽配信をするトヨタ自動車のサービスなど多様なサービスが誕生している。移動系通信の契約数に占めるMVNOの割合は9.7%(2017)で、総務省は移動体通信市場での競争を促進させるため、早期に10%に引き上げたいとしている。
[矢野 武 2018年3月19日]
(西田宗千佳 フリージャーナリスト / 2008年)
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