RCEP(読み)あーるせっぷ

共同通信ニュース用語解説 「RCEP」の解説

RCEP

地域的な包括的経済連携(RCEP) 貿易自由化を主な目的とした経済連携協定。「Regional Comprehensive Economic Partnership」の略で、アールセップと読む。2013年に交渉が始まり、20年に日本、中国韓国オーストラリアニュージーランド、東南アジア諸国の計15カ国が署名。22年1月1日に日中など10カ国で先行して発効した。関税削減や投資促進知的財産の保護などを定めている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「RCEP」の意味・わかりやすい解説

RCEP
あーるせっぷ

日本、中国、ASEAN(アセアン)(東南アジア諸国連合)諸国などアジア・太平洋地域の国々の自由貿易協定(FTA)。英語のRegional Comprehensive Economic Partnershipの頭文字をとって、RCEP(アールセップ)と略される。日本では東アジア地域包括的経済連携ともよばれる。日本、中国、ASEAN10か国のほか韓国、オーストラリア、ニュージーランドの15か国が2020年(令和2)に協定締結で合意。ASEANのうち6か国と非ASEAN3か国が承認すれば発効するが、発効時期は未定。当初から交渉に加わったインドは最終局面で離脱した。域内人口は約23億人(2020年国連推計)、域内総生産は約25兆ドル(2018年国連統計)と世界のほぼ3割を占める世界最大級のメガFTAである。2013年(平成25)から交渉を始め、工業品や農産物の関税の削減・撤廃、投資、サービス貿易、知的財産の保護、国境を越えた自由な電子商取引(EC)の確保など18分野で合意した。通常、FTAは関税撤廃を原則とするが、RCEPは「参加国の異なる発展段階を考慮し、特別のかつ異なる待遇や追加的な柔軟性」を認める緩やかな協定である。米中貿易戦争など世界的に保護主義が蔓延(まんえん)するなか、RCEPはTPP(環太平洋経済連携協定)と並び、アジア・太平洋地域の自由貿易を発展させる要(かなめ)として関心を集めている。日本にとっては中国、韓国との初のFTAである。

 2005年に中国が提唱した東アジア自由貿易圏構想(ASEAN+日本、中国、韓国)と、2007年(平成19)に日本が提唱した東アジア包括的経済連携構想(ASEAN+日本、中国、韓国、インド、オーストラリア、ニュージーランド)を包含した自由貿易圏構想である。2012年の東アジア首脳会議で交渉開始を決議し、TPPに不参加の中国、韓国などがRCEPの実現に積極的だった。安価な中国製品流入を警戒したインドは最終局面で離脱したが、いつでも復帰できるように、ほぼ無条件でインド即時加入を認める特別規定を設けている。RCEPの発効で域内関税の91%(品目ベース)が段階的に撤廃され、日本から中国向け輸出では撤廃率を8%から86%へ、韓国向けは19%から92%へ段階的に引き上げる。日本の米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、砂糖の5品目は輸入自由化の例外扱いである。

[矢野 武 2021年4月16日]

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知恵蔵mini 「RCEP」の解説

RCEP

東アジアにおける巨大自由貿易圏構想「東アジア地域包括的経済連携(Regional Comprehensive Economic Partnership)」の略称。地域の貿易・投資の促進やサプライチェーンの効率化を図るため市場へのアクセスを改善し、制度の異なる多様な国々の間での知的財産、電子商取引などの幅広い分野のルールを整備することを目的としている。日本、中国、韓国、インド、豪州、ニュージーランド6カ国と東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国の計16カ国が参加し、2013年に交渉が開始された。以来、参加国全体での妥結を目指してきたが、インドが関税撤廃などで慎重姿勢を崩さないことから合意に至らず、19年には同国が交渉から離脱する意向を示した。これを受け、インドを除く交渉参加国は同協定への署名を目指して協議を継続し、20年11月に開かれた第4回RCEP首脳会議の際に15カ国により署名された。

(2020-11-17)

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知恵蔵 「RCEP」の解説

RCEP

「東アジア地域包括的経済連携」のページをご覧ください。

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