RITE(読み)らいと

日本大百科全書(ニッポニカ) 「RITE」の意味・わかりやすい解説

RITE
らいと

国立情報学研究所が2011年から開始した、自然言語処理に関する評価型ワークショップ。テキスト処理技術の研究を向上させるための国際的なワークショップNTCIRなかで広く共通する課題となる「含意関係認識(推論)」にテーマを絞ったもので、RITEは、recognizing inference in textの略である。

 論理学において、命題pが真なら命題qも真であるとき、pはqを含意するという。コンピュータによる自然言語処理でも、二つのテキストの関係を含意(推論)であるか換言(同じ意味)であるか、それとも矛盾するのかをコンピュータに認識させるには、大きなハードルが存在する。たとえばp「鎌倉幕府は1192年に始まったとされていたが、現在では実質的な成立は1185年とする説が支配的だ」が、q「12世紀に日本では鎌倉幕府が開かれた」を含意することを人間は容易に理解する。しかしコンピュータがそれを判定するには、pとqの意味構造を理解し、常識的知識から推論できる情報を補うなどの処理が必要となる。

 RITEでは、共通のテキストについて参加メンバーがそれぞれ手法でチャレンジし、成果を評価しあうことで、技術と研究水準の向上を目ざしている。

[編集部 2020年1月21日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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