SaaS(読み)サース

デジタル大辞泉 「SaaS」の意味・読み・例文・類語

サース【SaaS】[software as a service]

software as a serviceインターネットを経由してソフトウエアを利用するサービスパッケージ商品を購入するのではなく、インターネットを通じて必要な機能のみを利用し、その内容に応じてサービス料を支払う。コンピューターやソフトウエアの導入および管理の負担を軽減できるという長所がある。サービスとしてのソフトウエア。ソフトウエア‐アズ‐ア‐サービス。サーズ
[補説]ASPが提供するサービスとほぼ同じだが、これらがソフトウエアの機能のみを提供するという点で異なる。2006年頃から、コンピューターシステム全体をインターネット経由で利用する、より包括的な概念を表す言葉としてクラウドコンピューティングという名称が使われるようになり、その後、SaaSを発展させたサービス形態としてプラットホーム一式を提供するPaaSパースネットワークハードウエアなどのインフラ一式を提供するIaaSイアースなどが生まれた。

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知恵蔵 「SaaS」の解説

SaaS

利用したいアプリケーションソフトウェア(以降ソフトウェア)を、PCなどのハードウェアインストールするのではなく、インターネットに接続した状態で利用するサービスを指す。「Software as a Service」の略。インターネット上にある複数のサーバーコンピュータを利用する形態のサービスは、一般的に「クラウドサービス」と呼ばれており、SaaSの他に、PaaS(Platform as a Service)やIaaS(Infrastructure as a Service)がある。三つのサービスは、サービスを提供する側の提供範囲などで区別することができる。SaaSはソフトウェアとソフトウェアを制御する基本ソフト(OS)、そして両者の間にあるミドルウェアと、基本ソフトを含むハードウェアなどのプラットフォーム一式全てをサービスとして提供するが、PaaSはソフトウェア以外の全てを、IaaSはプラットフォーム部分のみを提供するといった具合だ。代表的なPaaSやIaaSのクラウドサービスには、Google社の「Cloud Platform 」や、Microsoft社の「Microsoft Azure」、Amazon社の「Amazon Web Service」といったものがある。SaaSはPaaSやIaaSの提供範囲を含めたサービスとして構築されており、利用者がインターネット経由で利用するソフトウェアと考えることができる。ちなみに、SaaSには、Google社のメールサービス「Gmail」や、Twitter社のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)「Twitter」などといった有名なものが多数存在する。ソフトウェアの不具合対応や機能拡張などが必要となった場合、利用者が持つPCにインストールするソフトウェアだと、利用者各々のソフトウェアを更新したり、新しいバージョンのソフトウェアをインストールし直したりする必要がある。しかし、SaaSなら、クラウド上にあるサーバー側のプログラムを修正するだけで済むため、利用者は、ソフトウェアの更新や再インストールをする必要がなく、常に最新のサービスを利用することができる。また、基本的にインターネットに接続できるPCなどのコンピュータがあれば、どこでもSaaSが利用可能であるため、特定の場所やハードウェアにとらわれずサービスを利用することができる。

(横田一輝 ICTディレクター/2019年)


saas

ソフトウエアをサービスとして提供すること。「サーズ」と読む。「サービスとしてのソフトウエア」を意味する「Software as a Service」の頭文字を取ったもので、最初と最後のSは大文字、中の2つのaは小文字で書く。サービス提供者が所有するコンピュータ環境にソフトウエアを導入し、利用者は必要なときだけネットワーク(多くはインターネット)を経由して手元のパソコンにソフトウエアを呼び出して利用するというのが基本的な考え方。利用者側のシステムで導入やバージョンアップなどの保守管理が不要になる利点がある。SaaSを実現する手法には、シンクライアントや専用クライアントソフトなどを用いてサービス提供者のサーバー上で動作するソフトウエアを利用する方法や、ウェブアプリケーションを利用する方法などがある。

(斎藤幾郎 ライター / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「SaaS」の意味・わかりやすい解説

SaaS
さーす

ユーザーが必要な機能や時間(期間)を選んで使うことができるソフトウェア、あるいはそれらを提供するサービスやシステムの総称。Software as a Serviceの略。インターネットを利用して提供されるクラウドコンピューティングの一つで、サービス型ソフトウェアともいう。

 パソコンにソフトウェアをダウンロードして使うものと、サーバー側で動作しているソフトウェアをそのままオンラインで利用するものとがある。パッケージとして提供される従来型のアプリケーションは、高機能・多機能化によって利用しない機能までも含まれていて、必要な部分だけを切り分けるのはむずかしい。また、インストールやバージョンアップなどの管理作業が必要となる。それに対してSaaSでは、ユーザーが必要とする機能のみをネットワーク経由で提供できるため、利便性や効率化を高めることができる。

 ASP(Application Service Provider)と実質的には同義であるため、ASP・SaaSと併記されることもある。また、同様のサービスでネットワークやデータセンターなどのインフラを提供するIaaS(イアース)(Infrastructure as a Service)、アプリケーションを利用するためのプラットフォームを提供するPaaS(パース)(Platform as a Service)がある。

[編集部]

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IT用語がわかる辞典 「SaaS」の解説

サース【SaaS】

インターネットなどのコンピューターネットワークを通じて、ソフトウェアを利用するサービスを提供する事業モデル。利用者はソフトウェアをパッケージとして購入するのではなく、必要な機能を必要とされるときにのみ利用し、その使用料を代金として支払う。◇「software as a service」の頭文字から。「サーズ」ともいう。

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ASCII.jpデジタル用語辞典 「SaaS」の解説

SaaS

ソフトウェアの機能をネットワークを通して提供する方法。店頭で販売されているソフトウェアは、すべての機能を一括して購入していることになるが、SaaSではソフトウェアはサーバー側で動作し、ユーザーは必要な機能を選んで購入できる。最近ではクラウド・コンピューティングの一形態とされることもある。

出典 ASCII.jpデジタル用語辞典ASCII.jpデジタル用語辞典について 情報

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