1981年にパリ―リヨン間で開通した高速列車。フランスの主要都市を結び、総延長は約1850キロ(2013年)。パリと地中海に面する南部マルセイユまでを約3時間で結ぶ。営業運転最高速度の時速320キロは世界最速級で、試験走行では574・8キロを記録した。フランス国鉄のホームページによると、20億人が利用した。(共同)
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フランス国有鉄道(SNCF)の超高速列車。Train à Grande Vitesseの略である。約10年がかりで開発した新型車両により、1981年9月に南東線、パリ―リヨン間約400キロメートルを、370キロメートルの新設線路と在来線で結び、最高時速260キロメートルの運行を開始した。日本の新幹線との相違は、列車が機関車と連節式客車で構成されており、建設費を低廉にするため、路線は35‰の急勾配(こうばい)(水平距離1000メートルに対し高さ35メートルの勾配)を許容してトンネルや高架橋などの構造物をなくし、ターミナルは在来線のものを改良して使っていることである。最高時速はその後270キロメートルに引き上げられた。
TGVは列車の呼称であり、時速260キロメートル以上の高速新線はLGV(エルジェーベー)(Ligne à Grande Vitesse)と称している。
この南東線の成功により、SNCFは最高時速300キロメートルの大西洋線、北ヨーロッパ線、最高時速320キロメートルの地中海線、東ヨーロッパ線などを建設し、超高速列車網を拡大し、ロンドン、パリ、ブリュッセル、アムステルダム、ケルンおよびミラノなどの主要都市が超高速列車で結ばれるようになった。また、イタリア、スペイン、ドイツおよびスウェーデンなども超高速鉄道を建設しており、ヨーロッパ主要都市を結ぶ超高速列車網が整備されつつある。
TGVは、最初に開発されたTGV-SE(南東線、1981年)のほかに、TGV-A(大西洋線、1989年)、TGV-R(北ヨーロッパ線、1993年)、TGV-TMST(ユーロスター、1994年)、TGV-Duplex(南東線2階建て、1996年)およびTGV-POS(東ヨーロッパ線、2007年)等がある。また、TGVの電車版として永久磁石同期電動機を採用したAGV(アージェーベー)(Automotorice à Grande Vittesse)が開発され、2012年4月、イタリアで高速列車「italo(イタロ)」として営業運転を開始した。
東ヨーロッパ線用TGV-POSをベースにした試験列車で、2007年4月3日に、時速574.8キロメートルの速度記録を樹立した。これは2012年4月の時点で、レール・車輪方式の世界最高速記録となっている。
[佐藤芳彦]
『ブライアン・ペレン著、秋山芳弘訳『フランスの高速鉄道TGVハンドブック』(1996・電気車研究会)』▽『佐藤芳彦著『世界の高速鉄道』(1998・グランプリ出版)』▽『佐藤芳彦著『TGV vs.新幹線』(2008・講談社)』
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…車両は在来線規格で作られるため日本の新幹線より小型,軽量で乗車定員が少なく,また保守上有利な機関車タイプの動力集中方式が主流である。フランスは67年より200km/h運転を開始したが,81年にはパリ~リヨン間旅客専用新線389kmのうち273kmを完成させ,編成両端に電動車をもつTGV(Train à Grande Vitesseの略)による260km/h運転を開始した。この南東線の速度は,のちに270km/hに向上した。…
※「TGV」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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