transvestism(英語表記)transvestism

翻訳|transvestism

世界大百科事典(旧版)内のtransvestismの言及

【性】より

…しかし,性の両義的な象徴性が最も端的に現れるのは,禁止自体を侵犯するような性である。インセストや異性装transvestismなどは日常的レベルでは忌まわしく穢れたものとして排斥される一方,より高いレベルでは王家のインセストやシャーマンの女装,あるいは儀礼での性的タブーの消滅や神話での両性具有的神格のように,聖性を帯びる。このように禁止による分離の別のレベルでの解消は,女性の穢れと処女の聖性への分裂などと同様に,レベルを分けることによる性のパラドックスの論理的解決であるが,男女のアイデンティティにかかわるだけに,性の両義的象徴性は心理的にも強い刻印を押し,人間の性を彩っている。…

【性倒錯】より

…自分自身の肉体を性対象とするオートエロティズム(ナルシシズム),自分と同性を対象とする同性愛,性的に未熟な幼児を対象とする幼児性愛(ペドフィリアpedophilia),老人を対象とする老人性愛(ジェロントフィリアgerontophilia),死体を対象とする屍体性愛(ネクロフィリアnecrophilia),動物(獣,鳥など)を対象とする動物性愛(ゾーフィリアzoophilia,これにもとづく行為が獣姦=ソドミーsodomy),フェティッシュと呼ばれる物品や肉体の一部を性愛の対象とするフェティシズム,親子・同胞と交わる近親相姦など。一方,性目標の異常としては,露出症,窃視症(voyeurism,いわゆる〈のぞき〉),サディズムマゾヒズム,異性装症ないし服装倒錯(トランスベスティズムtransvestism)などがあげられてきた。異性との性器交接を正常の性交と考えると,これらの行為はいずれも,それによって得られる以上の性的興奮,快感,満足を,これらの性対象や性行為から獲得しようと試みるものとされてきた。…

【同性愛】より

…同性を性愛の対象とすることと定義できる同性愛は,そのイメージを20世紀において大きく変えた。同性愛はすぐれて20世紀的現象であり,人類の歴史において20世紀ほど同性愛者差別問題が激化し,また解放が強く叫ばれた時代はない。そして20世紀末,同性愛者に対する偏見は弱まりつつある。アメリカ精神医学会発行の《精神障害の診断と分類の手引》は1980年版以降,同性愛を削除し,WHO(国連世界保健機構)編纂の《国際疾病分類》も1992年版以降,同性愛を削除した。…

【変装】より

…したがってここでは,〈変装〉という言葉自体がもつニュアンスと時代的な限定性から離れて,一般的かつ原理的に,しばしば歴史的にも重大な意味を担っている,一種の文化現象あるいは社会現象としての変装という行為について,以下考察を加えることとしたい。 なお,〈変装〉という言葉の周辺にある用語上の問題について少し補足すれば,英語のtransvestismという言葉も,オックスフォード英語辞典本巻(1928完結)には未登録の新しい言葉であり,今日文化人類学などでは,一般的に〈変装〉〈異性装〉を意味する言葉としてごくふつうに用いられるものの,多くの一般英語話者の間では,一種の異常性欲としての〈異性装症〉〈服装倒錯〉を指すニュアンスが強いという特殊性をもっている。また,日本語の〈仮装〉という言葉は,典型的な用法としては〈カーニバルの仮装〉〈仮装舞踏会〉といったように,〈変装〉のそれと文脈上の使い分けがなされ,また,〈変装〉がどちらかというと〈変わる〉という行為の局面に重点が置かれるのに対して,〈仮装〉の方は変わったその状態に着目して,それが〈本来の姿ではない〉という虚構性を示唆する,という両者の区別が指摘されたりもするが,ある国語辞典の〈仮装〉の項の説明に〈変装〉という言換えがなされていることにも明らかなように,両者の区別は分明ではない。…

※「transvestism」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」