アジアインフラ投資銀行(読み)アジアインフラトウシギンコウ(英語表記)Asian Infrastructure Investment Bank

デジタル大辞泉 「アジアインフラ投資銀行」の意味・読み・例文・類語

アジア‐インフラとうしぎんこう〔‐トウシギンカウ〕【アジアインフラ投資銀行】

中国が主導するアジア向けの国際開発金融機関。アジア諸国のインフラ整備支援を目的とする。ロシア・ドイツインドなど57か国を創設メンバーとして2015年12月に発足米国日本参加を見送っている。AIIB(Asian Infrastructure Investment Bank)。

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知恵蔵 「アジアインフラ投資銀行」の解説

アジアインフラ投資銀行

アジア諸国のインフラ整備を支援する資金の融資を行う国際開発金融機関。中国が設立を呼び掛けたもので、本部北京、初代総裁には元中国財政次官の金立群が就任の見込み。2015年6月に創設メンバー50カ国が設立協定に署名した。参加国は中国を始めアジア各国のほか、英・独・仏など欧州を含む57カ国(このうち、フィリピンなど7カ国は署名見送り)で、15年内には正式に設立、業務開始を予定している。
国際開発金融機関としては、世界銀行(WB)のほかアジア・太平洋地域を対象とするアジア開発銀行(ADB)がすでにある。しかし、急速に発展するアジアのインフラ整備のための資金需要を賄うのに十分ではないとして新たにAIIBの設立を目指す。その背景として、ADBなど既存の機関では日米が主導的な役割を果たしており、中国が国際金融で発言権を十分に発揮できないことに不満を募らせていたとの評がある。設立の動きの中心を担う中国は、経済発展を背景に国際金融体制においても影響力を強めることが狙いではないかといわれている。
日本政府は融資基準の明確化や参加国の発言権などを巡って慎重にならざるを得ないとして、参加を見送った。また米国も国際基準を満たさない懸念があるとして参加していないが、融資基準の厳格化や既存の国際開発金融機関との協調関係が満たされれば設立を歓迎するとした。ただし、融資決定などに際して既存の機関が慎重なあまり迅速に対応できていないことなどから、中国は「西側のルールだけが最善とは限らない」とする。融資を受ける側のアジア諸国からは、既存の機関よりも柔軟な融資の実現が期待されている。
AIIBの資本金は参加各国の経済規模などに応じて出資比率を決め、当初は500億ドル、最終的には1000億ドルを見込む。ADBは商業性の強い融資案件をAIIBに紹介するとしており、協調関係の構築を目指す。ADBが教育・衛生など援助性の高い案件を担い、商業性が高い鉄道などインフラ整備への資金提供をAIIBが行うといった、アジア各国の経済建設資金の活性化と拡大の進展が望まれる。

(金谷俊秀 ライター/2015年)

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知恵蔵mini 「アジアインフラ投資銀行」の解説

アジアインフラ投資銀行

アジア向けの国際開発金融機関。略称AIIB。これまで、日本が最大出資国となっている「アジア開発銀行(ADB)」がアジア向け開発金融の任を担ってきているが、2013年10月、中国の習近平国家主席がAIIB構想を表明、中国主導で設立準備が進んでいる。15年3月31日がAIIBの創始メンバーになるための期限とされ、日本や米国が未参加の中、アジア諸国を始めイギリスフランス、ドイツなど48カ国・地域がAIIBへの参加を表明した。

(2015-4-02)

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