イスラム国(読み)イスラムコク(その他表記)Islamic State; IS

デジタル大辞泉 「イスラム国」の意味・読み・例文・類語

イスラム‐こく【イスラム国】

イスラム教を信仰する人が多く住む国。
イスラム教スンニ派の武装組織ISISアイシスISILアイシルとも)が2014年6月に宣言した新たな組織名イラク北西部からシリア北東部を事実上支配し、カリフ制国家の樹立を宣言したが、国際社会は承認していない。IS(Islamic State)。

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共同通信ニュース用語解説 「イスラム国」の解説

「イスラム国」(IS)

国際テロ組織アルカイダの流れをくむイスラム過激派組織。2011年以降のシリア内戦が泥沼化する中で台頭した。シリアとイラクにまたがる広大な地域を支配し、14年6月にイスラム教に基づく「国家樹立」を一方的に宣言した。欧州などで無差別テロを繰り返し、日本人を含む多数の民間人を殺害。17年にイラクとシリアの主要拠点を次々失い、壊滅状態に陥った。19年に指導者バグダディ容疑者が米作戦で死亡、後継指導者も相次いで死亡した。関連組織はアフガニスタンアフリカなど各地に広がっている。(モスル共同)

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イスラム国

過激派組織「イスラム国」(IS) イラクとシリアを拠点とするイスラム教スンニ派の過激派組織。中東民主化運動「アラブの春」が2011年3月、シリアに波及して反政府デモが本格化、12年半ばに内戦状態に陥り、混乱が拡大する中で台頭した。14年6月にはイラク北部モスルを制圧し、シリアとイラクにまたがる政教一致国家の樹立を一方的に宣言した。米国などの有志国連合は、モスルや、ISが首都と位置付けるシリア北部ラッカの奪還作戦を進めている。(共同)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イスラム国」の意味・わかりやすい解説

イスラム国
イスラムこく
Islamic State; IS

イラク西部からシリア東部を拠点とするイスラム武装勢力。「イラク・シリアのイスラム国」Islamic State in Iraq and Syria; ISIS,「イラク・レバントのイスラム国」Islamic State in Iraq and the Levant; ISILなどの名称で活動。2003年のイラク戦争の際に進駐したアメリカ軍などに対して,イラク国内に勃興した武装抵抗運動が起源スンニー派イスラムの過激な解釈に基づいた攘夷主義であり,当初は国外からのアルカイダ系戦闘員と結託して「イラク・イスラム国」の建設を目指した。おりから,かつてのフセイン体制下に享受していた利権を失い,シーア派主導の新政府から疎外されていたスンニー派諸部族の忿懣を吸収するかたち勢力を伸ばした。イラク中央政府が一時的にスンニー派との宥和に動くなどの情勢変化でいったんはシリアとの国境地域に後退したが,2011年にシリア内戦が勃発すると策源地をシリア北方のラッカに移し,両国北部・中部国境近辺に割拠して「イラク・シャーム(レバント)のイスラム国」と名のった(シャームあるいはレバントは,いずれもシリア,レバノンなど地中海東岸地域をさす。→レバント地方)。2014年に入ってイラク,シリア両国の統制力喪失に乗じて急速に勢力を拡大し,夏までには最大でそれぞれの国土の 3分の1を支配下に置いて,指導者アブー・バクル・バグダディは 6月末にみずからカリフ(スンニー派イスラム統治者)についたと宣言した。8月にアメリカ軍が,9月からは多国籍部隊が空爆を開始。欧米人や日本人など多国籍部隊を支持する国の人質を相次いで処刑し,その様子をインターネットで公開するなどの蛮行は国際社会の憤激を招いた。欧米在住のムスリム若年層など外国人義勇兵の参加も大きな懸念材料になった。

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知恵蔵 「イスラム国」の解説

イスラム国

2014年6月29日、ISIS(ISIL)の最高指導者アブ・バクル・バグダディが樹立を宣言した国。ISIS(イラク・シリア・イスラム国)が制圧したシリア北部のアレッポからイラク中部のディヤラまでを領土とし、シャリア(イスラム法)に基づく、スンニ派のカリフ(イスラム教開祖・ムハンマドの正統な後継者)制イスラム国家とうたう。バグダディは新しいカリフを自称し、世界中のスンニ派イスラム教徒に忠誠を求めている。しかし、国際社会は独立国家として認めず、近隣イスラム諸国も地域の安全を揺るがす脅威と危険視している。
ISISの母体は、イラク戦争(03年)後に結成されたアルカイダ系過激派組織とみられる。反欧米・ジハードを掲げ、11年に拡大したシリア内戦に加わると、シリアや周辺国から流れてきたスンニ派武装グループを吸収し、急速に勢力を拡大した。同時にイラク・シリアにまたがるイスラム国家樹立を前面に出すようになり、アルカイダとも対立、袂(たもと)を別った。14年に入ると、シリア北東部をほぼ制圧し、イラク北部に侵攻。6月上旬にはイラク第2の都市モスルを陥落し、イスラム国家樹立の拠点とした。なお、ISISはより広範な地中海東部沿岸地域(レバント)での国家樹立を目指していることから、ISIL(イラク・レバントのイスラム国)とも呼ばれる。
実動部隊は1万人余りと見られるが、短期間でシリア~イラクの広範な地域を支配下に入れた背景には、スンニ派住民のマリキ政権(シーア派)に対する強い不満がある。フセイン政権崩壊後、シーア派主導で国家再建が進められ、スンニ派は蚊帳の外に置かれた。イラクの人口構成はシーア派6割、スンニ派2割、クルド人2割だが、北西部はスンニ派が多数を占めている。反シーア派を鮮明にしているISIS(ISIL)は、残虐なテロ集団という報道がある一方、支配下に置かれたイラク北西部のスンニ派住民や、カリフ制再興を望んでいた国内外のイスラム教徒からは、一定の支持を得ているとも伝えられる。

(大迫秀樹  フリー編集者 / 2014年)

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デジタル大辞泉プラス 「イスラム国」の解説

イスラム国

《The Islamic State》イラク、シリアを中心に2004年から活動してきた「イラクのアルカイダ(AQI)」を母体とするスンニ派のイスラム過激組織、「イラク・レバントのイスラム国(ISIL)」の2014年6月以降の自称。最高指導者はイラク人のバグダディ。イスラム法に基づくカリフ制国家を謳うが、国際社会は承認していない。しかるに、シリアやイラク国外の中東国、アフリカなどでは、既存の過激組織が同組織への忠誠を宣言し、“イスラム国の州”を名乗る例も多発している。イラクでは2014年8月、シリアでは同年9月から欧米諸国が参加する空爆が開始され、同地域におけるイスラム国の支配地域は減少しているものの、関連組織の世界規模での拡大が懸念されており、近年では特に東南アジア方面での影響力の高まりが指摘されている。2015年には、前年より拘束していた邦人2名について、日本政府に身代金を要求ののち殺害映像を公開。日本社会に衝撃を与えた。略称はIS。

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百科事典マイペディア 「イスラム国」の意味・わかりやすい解説

イスラム国【イスラムこく】

IS

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「イスラム国」の意味・わかりやすい解説

イスラム国
いすらむこく

イスラミック・ステート

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