政府の中長期的なエネルギー政策の指針。国としてどの電源を推進するかを示す電源構成目標、原発の運営、資源確保の方針を明記する。電力会社など民間企業の投資計画に影響を及ぼす。エネルギー政策基本法に基づいて2003年に初策定。おおむね3年ごとに見直しており、来年閣議決定を目指すのは第7次計画となる。
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日本の長期的なエネルギー政策の取組みにおいて、もっとも基本的で重要な政策方針を示す政策文書のこと。2002年(平成14)にエネルギー政策基本法が制定され、「安定供給の確保(Energy Security)」「環境への適合(Environment)」「市場原理の活用(経済効率性Economic Efficiency)」の三つの基本方針が示された。そして、エネルギー安全保障、環境保全、経済効率性の三つを同時にバランスよく追求し、その達成を目ざすことが、エネルギー政策の要諦(ようてい)であると位置づけられた。この三つの目標の英語の頭文字が「E」であることから、「3E目標」ともいわれる。2011年の東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故を踏まえ、安全性(Safety)がエネルギー政策の前提条件と位置づけられてからは、「Sプラス3E目標」ともいわれるようになっている。
2003年に最初のエネルギー基本計画が策定されて以来、おおむね3~4年ごとに日本を取り巻く内外情勢の変化を踏まえてエネルギー基本計画は改定されてきた。2018年7月には第5次エネルギー基本計画が閣議決定され、2030年のエネルギーミックス目標の達成が最重要課題として明記された。
2020年(令和2)10月に当時の総理大臣菅義偉(すがよしひで)が、日本は2050年にカーボンニュートラルの実現を目ざす方針を発表し、2021年4月には、2030年の温室効果ガス排出削減目標を従来の26%(2013年度比)から46%削減に引き上げる方針を発表した。そのため、これらを前提として第6次エネルギー基本計画の改定が行われることになり、2030年の3E目標について、温室効果ガス排出削減46%、エネルギー自給率30%のほか、電力コストの上昇の抑制を図るため、省エネルギーを抜本的に強化しつつ、同年の電源構成を再生可能エネルギー36~38%、原子力20~22%、LNG(液化天然ガス)20%、石炭19%、水素・アンモニア1%とする目標を掲げた。また、2050年にカーボンニュートラルを実現すべく、電力化を最大限推進し、電源をゼロ・エミッション化するため、再生可能エネルギーを主力電源化し、水素や炭素回収貯留(CCS)を活用して、さらには直接大気回収(DAC)などのネガティブ・エミッション技術も活用する方針を示している。この第6次エネルギー基本計画は、菅政権を引き継いだ岸田文雄政権のもとで、2021年10月に閣議決定された。
[小山 堅 2022年1月21日]
(飯田哲也 環境エネルギー政策研究所所長 / 2007年)
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