翻訳|Osprey
固定翼機と、ヘリコプターのような回転翼機の特徴を兼ね備える輸送機。ローターの角度を変えて垂直離着陸やホバリングができる。米軍による開発段階から事故やトラブルが相次ぎ、安全性が懸念されている。陸上自衛隊は2025年7月を期限として、17機を千葉県の木更津駐屯地に暫定配備しており、最終的に、建設中の佐賀駐屯地(佐賀市・仮称)に移駐する予定だ。
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(大迫秀樹 フリー編集者 / 2012年)
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固定翼機でありながら、垂直に離着陸できるアメリカ軍の主力輸送機V-22の愛称。主翼両端についたローターとエンジン部を、水平方向から垂直方向に動かすことで、ヘリコプターのような垂直離着陸やホバリング機能と、プロペラ飛行機のような航続距離の長い水平高速飛行機能を実現している。このような形式はティルト・ローターとよばれる。アメリカのベル社とボーイング社の共同開発で、初飛行は1989年。愛称は、垂直に降下して餌(えさ)をとる習性のある鳥のミサゴ(osprey)にちなんでいる。全長17.5メートル、全高6.7メートルで、最高速度は、2012年時点でアメリカ軍が保有する輸送用ヘリコプターの約2倍の時速520キロメートルに達する。空中給油などによる最大航続距離は約3900キロメートル。最大収容人数は28人(乗員含む)。アメリカ国防総省は2007年から海兵隊(海兵隊での仕様名称はMV-22)、空軍(空軍での仕様名称はCV-22)、海軍(海軍での仕様名称はHV-22)に実戦配備している。
日本国内では、離島有事や災害に備え、2012年(平成24)からオスプレイの配備が順次進んでいる。アメリカ国防総省は沖縄県普天間(ふてんま)飛行場に24機を、東京都横田基地に6機(2024年までに10機に増強する計画)を配備。陸上自衛隊も2025年までに、長崎県相浦(あいのうら)駐屯地近くの佐賀空港に17機を配備する計画で、千葉県木更津(きさらづ)駐屯地に9機を暫定配備済みである。ただ、普天間飛行場所属のオスプレイが沖縄県名護(なご)市沖(2016)で、アメリカ海兵隊所属機がオーストラリア東海岸沖(2017)で墜落するなど、開発段階から相次いだ事故が、実戦配備後も続いている。このため配備先の自治体や漁業関係者・地権者などから「安全性に不安がある」として飛行や配備に反対する声が出ている。
[矢野 武 2022年11月17日]
「ベル/ボーイングV-22オスプレイ」のページをご覧ください。
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