翻訳|cash card
金融機関が預貯金者に発行するプラスチック製の磁気カード。主としてATM(現金自動預金支払機)やCD(現金自動支払機)による取引に用いられる。ATMやCDに暗証番号や取引金額などを入力することにより、印鑑や通帳なし(あるいは通帳併用)で取引できる。取引の範囲も預貯金の預入れ、引出しから、残高照会、振込みなど多様である。
日本では、1969年(昭和44)にCDが設置されるとともにキャッシュカードの発行が始まった。現在ではATM、CDが金融機関の店舗のほか、多数のコンビニエンス・ストアや駅構内などに設置され、また、MICS(全国キャッシュサービス)など、ATM、CDの相互利用をめぐる金融機関間のオンライン提携が進んだことから、金融機関窓口の営業時間外でも、取引金融機関以外のATM、CDでも、キャッシュカードによる取引が可能になっている。さらに、キャッシュカードの機能とクレジットカードの機能を一体化したカードが登場したり、デビット機能(即時口座引き落とし機能)が付加されるなど、キャッシュカードの利便性が大幅に向上した。これらを背景にキャッシュカードは広く普及し、金融庁のアンケート調査(「偽造キャッシュカード問題等に対する対応状況」)によれば、2012年(平成24)3月現在、全国1483の金融機関のATM、CD設置台数は約16万台、キャッシュカードの発行枚数は約5億0153万枚に及ぶ。
キャッシュカードによる取引が日常生活のなかで一般化するのに伴い、キャッシュカードの盗難被害や、その磁気情報を不正な手段で読み取り(スキミング)、偽造したキャッシュカードを不正に使用、あるいはATMを用いた「振り込め詐欺」などの犯罪の増加が社会的な問題として浮上してきた。こうした問題に対し、キャッシュカード内に暗証番号を記録しない「ゼロ暗証化」を進めるとともに、キャッシュカードによる取引金額に一定の限度を設ける、などの対応策がとられている。さらに、取引情報が漏れにくいIC(集積回路)チップを搭載したICキャッシュカードの普及が進められ、また、取引時の本人確認のため、手の指や手のひらの静脈で認証する生体認証機能がついたICキャッシュカードも登場している。前記の金融庁の調査では、2012年3月現在、ICキャッシュカードの発行枚数は約8756万枚、生体認証機能付きICキャッシュカードの発行枚数は約5336万枚と、それぞれキャッシュカード発行枚数の17.5%および10.6%を占める。
[中村光毅]
『大蔵省銀行局編『銀行局金融年報第19回 昭和45年版』(1970・金融財政事情研究会)』▽『金融情報システムセンター編『金融情報システム白書 平成21年版』(2008・財経詳報社)』
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
…1969年に,一部都銀で導入されたオフラインの現金自動支払機は,その後オンライン化され,79年に登場した現金自動預入支払機と合わせると,すでに都市銀行はほぼ全店舗に設置されている。機械の操作に使われるキャッシュ・カードの発行枚数は,82年9月当時で都市銀行は3300万枚,地方銀行は2500万枚にのぼった。
[銀行相互間の機械化]
全国銀行データ通信システムは,加盟金融機関相互間の内国為替取引を行うシステムで,東京銀行協会の内国為替運営機構で運営している。…
※「キャッシュカード」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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