クール・ジャパン(読み)くーるじゃぱん(英語表記)COOL JAPAN

知恵蔵 「クール・ジャパン」の解説

クール・ジャパン

日本独自の文化が海外で評価を受けている現象、またはその日本文化を指す言葉。当初は主に秋葉原に代表されるようなマンガやアニメ、渋谷原宿のファッションなど、ポップカルチャーを指していたが、食材や伝統工芸家電など広範囲にわたった文化を指すようになってきた。
米外交政策誌にアメリカのジャーナリストが「日本は文化のスーパーパワー」と書いたのが「クール・ジャパン」の発端と言われており、クールは冷たいという意味ではなく、洗練された、感じがいい、かっこいい等の意味で使われている。2010年に東京工芸大学が行った「クール・ジャパンとして世界に紹介したい日本文化は何か」というアンケートでは、テレビアニメでは「ドラゴンボールシリーズ」「ドラえもん」、「機動戦士ガンダムシリーズ」など、ゲームでは「ドラゴンクエストシリーズ」「スーパーマリオブラザーズシリーズ」「ファイナルファンタジーシリーズ」などが上位にランクインした。
10年6月に経済産業省が日本の文化産業の海外進出、人材育成などの促進を行うクール・ジャパン室を創設。11年度の予算に約19億円を要望する予定。10年11月2日にはクール・ジャパンを再発見し共有・発信する「COOL JAPAN TOKYO-CONFERENCE」を開催。メインナビゲーターに作詞家の秋元康と脳科学者の茂木健一郎などを迎え、クリエーティブディレクターの佐藤可士和、建築家の隈研吾、ファッションジャーナリストの生駒芳子、工業デザイナーの奥山清行など多彩なジャンル識者が登壇した。
その他、同年8月には文部科学省、経済産業省、外務省の3省が来年度のクール・ジャパンの海外進出を進めるための予算に計27億円を要望するなど、政府としてもクール・ジャパン現象を推進することに力を入れている。

(富岡亜紀子  ライター / 2010年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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