銀行間どうしの資金過不足の調整の場であるコール市場で成立する貸借(出し手からみた場合コール・ローン,取り手からみた場合コール・マネーという)の金利をいい,刻みは1/16%。通常は資金の出し手(=運用者)の金利で表示されるが,取り手(=調達者)の金利はそれに短資マージンに相当する1/16%を加えたものとなっている(ただし短資業者はコール資金のディーリングを行っているのでこの1/16%は確定マージンではない)。レートの設定に当たっては,かつてとられていた建値制が廃止され,1979年4月以降は日々変動する自由レートとなっており,無条件ものや期日もの(2~7日もの)の種類ごとに,それぞれの期間の需給に応じたレート設定がなされている(具体的には各短資会社が毎営業日の午前9時前後に当日および2~7日先の資金需給や出し手,取り手の需給関係等を勘案してコールの種類ごとにオープニングレートを設定し取引先に連絡)が,こうした出し手,取り手の需給関係には日本銀行の金融調節態度が大きく影響することから,レートの動きには日銀の意図が反映されることが多い。すなわち日銀が,コール・マネーの主たる取り手である都市銀行から日銀信用の回収を多めに行い都銀の準備預金の積みを所要より不足気味に運営していけばレートに上昇圧力が働く一方,逆に多めの信用供与を行えばレート下降圧力が働く等である。なお近年企業の外国銀行本邦支店からのスポット借入れ志向の高まり(都銀等への預金協力需要として各四半期の最終月に顕著)に伴う外銀各支店のマネー取入れ需要の増加,および公社債流通金融を媒介としての証券会社のマネー取入れ需要の増加等から,コール・レートと円転換コスト,インパクト・ローン取入れコスト等との金利裁定が強まってきている。
執筆者:中山 泰男
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…この金利を操作することを含めて日本銀行の対民間貸出しを操作することを金利政策,公定歩合政策あるいは貸出政策といい,金融政策の重要な手段となっている。(2)短期市場金利 金融機関が支払準備金の過不足を調整するために短期の資金取引を行う短期資金市場の金利(短期金利)で,コール市場におけるコール・レート,手形売買市場(手形市場)における手形(売買)レートがある。コールおよび手形(売買)市場は金融機関だけが市場に参加しうるインター・バンク市場であるが,ほかに一般の事業会社も参加しうる短期資金市場として現先市場およびCD市場がある。…
…日本では,半日ものを除きすべて国債など担保付きの取引である。コール資金の取引に適用される金利をコール・レートといい,短期金融情勢を判断するうえでの重要な指標となっている。コール・レートは,もともと弾力的に動いてきたが,1979年4月出手,取手双方の合意にもとづく建値制(市場参加者にとって均一なレートが前日に明らかにされている制度)が廃止され,金利が完全に自由化されて以降,公定歩合に規定されつつも,その時々の短期金融市場における資金の需給関係をきわめて敏感に反映して動くようになっている。…
…手形売買市場で形成される金利を手形売買レートというが,手形売買レートも1979年10月建値制が廃止されて金利自由化が完了し,その時々の資金需給を敏感に反映して頻繁な変更をみるようになっている。手形売買レートは,日本銀行が日々の金融調節を通じて金融機関の支払準備の状況を左右しているため,コール・レートと密接な関係がある。ただ,貸借期間がコール資金よりも長いことから,コール・レートより若干高いのが普通である。…
※「コールレート」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
マイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにしたもの。マイナポータルなどで利用登録が必要。令和3年(2021)10月から本格運用開始。マイナンバー保険証。マイナンバーカード健康保険証。...