翻訳|showrooming
消費者が実店舗では商品の価格やサイズ、機能などの品定めをするだけで実際には購入せず、ネット通販などのオンラインショッピングで価格を比較したうえで、より安い品を購入しようとする消費行動。2008年のリーマン・ショック後の景気低迷のなか、アメリカで生まれた造語である。小売店が商品を見たり試着したりするショールーム(展示場所)のように利用されるため、こうよばれる。インターネットの普及でネット通販などの電子商取引サイトが充実し、価格比較サイトや競売(オークション)サイトが次々と登場したことを背景に、消費者の節約・低価格志向のなかからこのような消費形態が生まれた。その場での価格比較が可能なスマートフォンやタブレット型端末など多機能携帯端末の普及もショールーミングに拍車をかけている。
全商品・サービス販売高に占める電子商取引比率が5%(2012年上期、アメリカ商務省調べ)に達しているアメリカでは、とくに家電品、衣料品、食品などのショールーミングが盛んで、アマゾンAmazon.comなどの電子商取引企業が業績を伸ばしている。店頭で値札のバーコードを多機能携帯端末でスキャンするだけで、その場で価格比較できるソフトウェア(アプリ)を無料配布し、ショールーミングを後押しする動きもある。一方、ショールーミングが広がったことで、アメリカの家電量販店や大手書籍チェーン店などは売上げ不振に陥り、家電量販のサーキット・シティ社や書籍大手のボーダーズ・グループなど倒産する企業も出た。ショールーミングに対抗するため、小売店の間ではライバル企業の提示価格まで値引きする最低価格保証サービスの導入や、他店では手に入らない独自商品の販売に力を入れる動きが出ている。大手小売店ウォルマート・ストアーズのように、ショールーミングの有力利用ツールとなっている多機能携帯端末の販売を取りやめた企業もある。アメリカの経済紙『ウォール・ストリート・ジャーナル』が2012年1月に、ショールーミングがアメリカ小売業界にとって大きな経営問題になっていると報じ、世界的な関心を集めるようになった。日本の小売販売額に占める電子商取引比率は2%台(2011年、経済産業省調べ)にとどまるが、いずれ日本でもアメリカのようにショールーミングが小売業に影響を与えるとみられている。
[編集部]
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