スリーマイル島原子力発電所(読み)スリーマイルとうげんしりょくはつでんしょ(その他表記)Three Mile Island nuclear power station

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

スリーマイル島原子力発電所
スリーマイルとうげんしりょくはつでんしょ
Three Mile Island nuclear power station

アメリカのペンシルバニア州州都ハリスバーグ近郊,サスケハナ川に浮かぶスリーマイル島原子力発電所。 1979年,冷却材喪失事故 LOCA (Loss of Coolant Accident) を起こした。 1974年商業運転開始。 1979年3月 28日午前4時,2号機 (加圧水型軽水炉 95万 9000kW) で放射能漏れ事故が起こり,世界に衝撃を与えた。事故は復水浄化器のトラブルで二次冷却水の循環が止まったことから始まったが,運転中開けておくべき弁を開け忘れていたために補助給水系が働かなかったこと,加圧器逃し弁が故障で自動的に閉まらなかったこと,運転員が判断ミスから緊急炉心冷却装置を停止したことなどが重なり,一次冷却水が原子炉から失われて炉心の3分の2を破損した。また,排水系の設計ミスのために,放射性希ガス約 250万キュリー,ヨウ素 131約 15キュリーなど,かなりの放射能が外部に放出された。情報の混乱から周辺住民が避難する騒ぎとなったが,住民が実際に受けた放射線は最高 100ミリ rem,周辺 80km以内の 200万人の平均で 1.5ミリ rem程度であった。事故の結果,原子力発電の安全性に対して社会的不信感が広がったが,一方ではヒューマンファクター重要性が認識されるなど数多くの教訓も残した。

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