デジタル大辞泉 「ドーハラウンド」の意味・読み・例文・類語
ドーハ‐ラウンド(Doha round)
[補説]交渉分野は、農業・非農産品の関税引き下げ、サービス貿易の自由化、アンチダンピング・補助金協定から、途上国の開発促進や環境関連物品・サービスの自由化まで多岐にわたる。そのため、新興途上国と先進国、輸出国と輸入国など、交渉分野によって各国が複雑に対立し、交渉は難航・長期化している。
新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド) 世界貿易機関(WTO)に加盟する160以上の国・地域が農業や鉱工業品の関税削減、サービス分野の自由化を目指す包括的な交渉。正式名は「ドーハ開発アジェンダ」で、貿易を通じた途上国開発を重要課題とした。交渉が停滞したことから、環太平洋連携協定(TPP)や2国間の自由貿易協定(FTA)といった経済連携の動きが加速した。(ナイロビ共同)
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出典 共同通信社 共同通信ニュース用語解説共同通信ニュース用語解説について 情報
WTO(世界貿易機関)に加盟する約160か国がモノやサービスの貿易自由化を話し合う多角的通商交渉。2001年にカタールのドーハで開かれた閣僚会議で交渉の開始が決議された。過去の通商交渉とは異なり、中国やインドなどの新興国や途上国も参加して貿易自由化や環境に配慮した開発ルールづくりを目ざしている。しかし先進国と新興国、農業国と農産物消費国との間に対立があり、交渉妥結には至っていない。ラウンドとは多くの国々が円卓round tableを囲んで協議する場を意味し、多国間通商交渉をさすが、途上国がラウンドという表現は先進国主導の印象が強いと主張。ドーハ・ラウンドは正式にはドーハ開発アジェンダDoha Development Agendaとよばれる。
農業、非農産品(鉱工業品および林水産品)、サービス、ルール(アンチ・ダンピング協定、補助金協定など)、紛争解決、開発、貿易と環境の7交渉分野を設け、鉱工業品や農産物品の関税引き下げ・撤廃、サービス貿易の自由化、新たな貿易ルールづくりなどの一括合意を目ざす。日本にとっては、税率の高いコメなどの農産物の関税引き下げが焦点になっている。
大恐慌後に台頭した保護貿易主義が第二次世界大戦の要因の一つになったとの反省から、1948年にジュネーブでGATT(関税および貿易に関する一般協定)が発足。自由貿易促進のため、これまでドーハを含め9回のラウンドが開催された。第5回からは提唱者や会議の始まった地名・国名にちなみ、ディロン・ラウンド(1960~1961、提唱者はアメリカのダグラス・ディロン国務次官)、ケネディ・ラウンド(1964~1967、提唱者はケネディ元アメリカ大統領)、東京ラウンド(1973~1979)、ウルグアイ・ラウンド(1986~1994)とよばれている。ウルグアイ・ラウンドでGATTを発展的に解消して、1995年にWTOを発足させることで合意した。ただ交渉を重ねるにつれて加盟国が増え、最終合意までに年月がかかるようになった。当初2005年合意を目標としたドーハ・ラウンドも何度か最終合意に失敗した。このためラウンドを補完する形で、2国間の自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)を結ぶ動きが相次いでいる。
[編集部]
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