ハードディスク(読み)はーどでぃすく(その他表記)hard disk

翻訳|hard disk

精選版 日本国語大辞典 「ハードディスク」の意味・読み・例文・類語

ハード‐ディスク

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] hard disk ) コンピュータ磁気ディスク記憶装置のうち、アルミニウム合金製の円板。大容量で、外部記憶装置として用いられる。固定ディスク

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハードディスク」の意味・わかりやすい解説

ハードディスク
はーどでぃすく
hard disk
hard disc

データを記録できる磁性体の円盤(ディスク)。高速回転させ、磁気ヘッドとよぶ素子を使うことでデータの読み書きができる。ディスクは磁気によりデータを記録する丸い平盤で、基板にアルミニウムガラスなどの硬い素材を用いるのでこの名がある。HDとも略記する。最初は、大型コンピュータ用に開発されたが、現在ではほとんどのパソコンや一部のテレビ、カーナビゲーションなどにも内蔵されている。また、内蔵ハードディスクの補助、代替、追加用に外付けのものもある。

 プラスチックシートのフロッピーディスク(FD)に比べて硬い記録盤のため、磁気ヘッドとの間隔を一定に保ちながら高速回転することができ、大容量情報の処理を可能にする。ソフトウェア、グラフィック、映像、テキスト、音声、表計算、データベースなど、高速で効率的処理が必要なあらゆる種類の情報を大量格納できる。しかし、ディスクは毎分数千回もの高速回転時の空気の流れ(層流)を利用してヘッドを浮かせて移動している(フライングヘッド)ために、塵埃(じんあい)の流入や動作中の衝撃、振動は厳禁であり、対策として、ディスクとヘッドや処理装置を一体化している。このように一体化した磁気ディスク装置をハードディスクドライブhard disk drive(HDD)、または、略して単にハードディスク(HD)ともよぶ。ケースに密封しているのでディスクの交換はできない。

 大量記録を可能にするために、表裏に記録膜をもつディスクを1枚だけでなく、数枚積み重ねても用いる。表裏の記録媒体に対応できるように、読み書きヘッドは各ディスクを挟むように設けている。低消費電力で、衝撃、振動にも強いが、用途はディスク径に応じて異なる。8インチ(1インチは25.4ミリメートル)、5インチタイプは大型コンピュータ用であるが、1980年代まではパソコンにも用いられた。3.5インチタイプはデスクトップパソコンやサーバー、ワークステーション用の主流となっている。2.5インチタイプはノートパソコン用の主流であるが、デスクトップパソコンやカーナビゲーション、ゲーム機でも利用される。1.8インチタイプは小型軽量で、ノートパソコン、iPod(アイポッド)などの携帯音楽プレーヤー、携帯ビデオプレーヤー用である。1インチタイプは単体では「マイクロドライブ」の名称で商標登録されており、高級デジタルカメラや小型携帯用音楽プレーヤー用である。0.85インチタイプは東芝社が2003年(平成15)に開発し、自社製品に搭載したものである。HDの回転速度は、たとえば、3.5インチタイプで毎分5400、7200、1万などであり、さらには1万5000回のものもある。

 HDは、レイノルド・ジョンソンReynold B. Johnson(1906―1998)により発明され、アメリカのIBM社が1956年にIBM 350ディスクファイルとしてまとめ、RAMAC 305およびRAM 650のコンピュータの一部として公式に発表したのが最初である。24インチ(約60センチメートル)のディスク50枚で約4.4メガ(100万)バイトの容量で、毎秒1200回で回転し、データ転送速度は毎秒8800バイトであったが、筐体(きょうたい)は高さ172センチメートル、幅152センチメートル、奥行74センチメートルと大型冷蔵庫並みで、総重量は1トン以上であった。1961年に発表されたIBM 1301はフライングヘッドを採用。1973年発表のウィンチェスターディスクドライブは、ディスクとディスクヘッドやアームなどドライブ機構も一体化して密閉し、ディスクとヘッドのすきまの精度をあげ、ディスク上の情報への円滑なアクセスを可能にした。これにより記憶容量を飛躍的に増大させ、今日の技術の基本となり小型化を可能にして普及が加速したことから、HDDはウィンチェスターディスクドライブともよばれていた。

 HDは、2000年代になると民生電子製品のデジタル化により、デジタル化した音声、映像などのデータを記録する装置としても注目された。容量単価は安く、ランダムアクセスが可能でアクセス速度も速く、書換え可能なことから、2003年以降から小型機器の情報保存用に市場を広げている。初期の容量は数十メガバイトであったが、1990年代のなかばからパソコンなどのファイルの保存用に8~20ギガ(10億)バイトのものが製造されるようになった。その後、デスクトップパソコンは500ギガバイト~1テラ(1兆)バイトのHDを内蔵するようになったが、2015年時点では8テラバイトの大容量のものもある。

[岩田倫典 2015年4月17日]


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百科事典マイペディア 「ハードディスク」の意味・わかりやすい解説

ハードディスク

磁性体を塗布したアルミニウムの円盤(ディスク)を高速回転させて,磁気ヘッドでデータを記録再生する装置。ディスクの直径は2.5インチ(主にノートパソコン用)と3.5インチ(主にデスクトップパソコン用)が主流である。記録密度は年々増えており,2013年4月現在では数テラバイト以上の容量をもつものもある。インターフェースとしてはSCSI(スカジー)方式とIDE方式がある。ゴミやほこりに弱いので通常は密閉されている。またディスクを高速に回転することから,ハードディスク自体が発熱し,振動にも弱いが,比較的安価なため広く利用されている。
→関連項目磁気ディスクストレージフラッシュメモリドライブメモリーランダムアクセス

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ASCII.jpデジタル用語辞典 「ハードディスク」の解説

ハードディスク

コンピューターの記憶装置のひとつ。ハードディスク・ドライブ、HD、HDDとも呼ばれる。ガラスやアルミニウム合金に磁性体を塗布した円盤にデータを記録する。コンピューターのメインメモリー上のデータは電源を切ると消えてしまうが、ハードディスク内に記録されたデータは、電源を切っても消えることがない。ハードディスクのケース内には、複数枚の円盤と読み書きをするための磁気ヘッドなどが収められている。磁気ヘッドは、円盤の回転によって生まれる空気の層を利用して1000分の1ミリ以下の距離に浮いているため、衝撃や振動に弱い。パソコン本体のケースに内蔵するタイプと、外付けするタイプの2種類がある。また、他の電子機器同様に製品寿命があり、データの定期的なバックアップが必要。

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知恵蔵 「ハードディスク」の解説

ハードディスク

パソコンで最も主要なデータの記憶装置。パソコンに内蔵するタイプとUSBなどを利用して外付けするタイプとがあるが、外付けタイプは内蔵用のハードディスクに電源などを追加してケースに入れたものである。外見は箱状だが、装置内に1枚から複数枚の磁気ディスク(円盤)が内蔵され、CD‐Rなどと違い、読み書きする装置と記録メディアが一体構造なのが普通。読み書きする装置も含めれば、現行の記憶装置の中で最も容量あたりのコストが低い。DVDレコーダー、デジタル音楽プレーヤー、カーナビ、家庭用ゲーム機などにも内蔵されている。

(斎藤幾郎 ライター / 2007年)

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カメラマン写真用語辞典 「ハードディスク」の解説

ハードディスク

 英語のHard Disk 。略してHDと表記されることが多い。データ記憶装置のひとつで、大容量を特長にパソコンに搭載されたり、外部記憶装置として活用されている。  内部は、磁性体を塗ったディスクを何枚も重ねた構造で、これを高速回転させ、磁気ヘッドでデータの読み書きを行う。デジタルカメラでも マイクロドライブ という小型のハードディスクが開発され、RAW画像や動画などの容量の大きいデータも保存が可能となった。

出典 カメラマンWebカメラマン写真用語辞典について 情報

IT用語がわかる辞典 「ハードディスク」の解説

ハードディスク【hard disk】

コンピューターで使われる代表的な記憶装置のひとつ。磁性体を塗布した金属製のディスクを高速で回転させ、磁気ヘッドによりデータの読み出しや書き込みをする。◇「固定ディスク」ともいう。本来、「ハードディスク」はディスク(円盤)状の記憶媒体を指すが、基本的に読み出し・書き込み装置と一体化しているため、装置全体を指す「ハードディスクドライブ」「HDD」の意で用いられることが多い。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハードディスク」の意味・わかりやすい解説

ハードディスク

「磁気ディスク」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内のハードディスクの言及

【記憶装置】より

…磁気記憶装置で使われる記憶媒体として,1950年代には磁気ドラムが使われたこともあるが,その後長期にわたって磁気ディスクや磁気テープが主流だった。磁気ディスクとしては,後述するハードディスク(固定ディスク)やフロッピーディスクなどがある。磁気テープとしては,記憶装置専用のカセットテープのほかにオーディオ・ビデオ用とほぼ同じ媒体も使われている。…

※「ハードディスク」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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