ヒズボラ(読み)ひずぼら

デジタル大辞泉 「ヒズボラ」の意味・読み・例文・類語

ヒズボラ(〈アラビア〉hizbu'llah)

《神の党の意》レバノンの、親イランシーア派イスラム教徒宗教政治・軍事組織。1982年のイスラエル軍のレバノン侵攻時にイランから送り込まれた「イラン革命防衛隊」によって組織され、現在、首都ベイルート南部、ベカー高原などに多数民兵を擁している。ヒズボッラー

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知恵蔵 「ヒズボラ」の解説

ヒズボラ

アラビア語で「神の党」を意味する言葉で、中東各地のイスラム急進派がこの名を冠した組織を設立している。比較的よく知られているものにレバノンのヒズボラがある。多宗派国家レバノンの最大宗派であるシーア派はレバノン南部をその居住地としているが、政治的にも経済的にも下層のこの派は、1970年代から組織化、政治化、急進化傾向を強め、82年にイランの後ろ盾を得てヒズボラが誕生した。決死ゲリラ攻撃で知られる軍事部門は、イスラエルが傀儡(かいらい)軍を使って支配し、「安全保障地帯」と呼んだレバノン南部の国境地帯への攻撃で大きな戦果をあげ、2000年5月末、イスラエル軍は「安全保障地帯」から撤退した。ヒズボラの力の源泉は、軍事力ばかりではなく貧しいシーア派大衆の間で社会福祉事業を通じて獲得した強い支持である。06年7月、ヒズボラのゲリラがイスラエル兵2人を人質にしたことをきっかけにイスラエルがレバノンを攻撃、ヒズボラも反撃し、両者の間で8月まで戦争が続いた(レバノン情勢)。

(高橋和夫 放送大学助教授 / 2007年)

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デジタル大辞泉プラス 「ヒズボラ」の解説

ヒズボラ

《Hizballah》レバノンのシーア派系イスラム原理主義組織。レバノン戦争に伴い「アマル運動」から分派した「イスラミック・アマル運動」と、シーア派政治組織「ダアワ党」レバノン支部との合併により、1982年に成立。組織名はアラビア語で「神の党」を意味する。イスラエルに対する武力攻撃を行なう一方、1992年以降はレバノン国内で合法的政治活動も展開。閣僚も輩出している。活動資金は世界的ネットワークにより支えられており、イラン、西アフリカ諸国からの援助も受けている。

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