翻訳|pictogram
単純な図形を組み合わせ、視覚的に情報を伝えるために考案された絵文字。日本では、1964年の東京五輪を契機に広がり、公共施設などで使われるようになった。出口に向かう人を表した「非常口」マークは、国際規格となっている。昨年の東京五輪開会式では、競技種目の図柄をパントマイムのパフォーマーが表現し、世界的に注目を集めた。
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視覚記号の一つ。絵文字、絵単語、図記号の総称で、ピクトグラフpictograph、絵ことば、絵を使った統計図表、絵記号、絵グラフなども同義である。事物の使い方や性質、状態の強弱や変化、統計数値の大小といった情報や符号を、だれにでもわかりやすい単純な構図と明瞭な二つの色で表す。非常口やトイレの目印に代表されるように、文字がなく、目につきやすいむだのない図記号で表されている。交通標識や案内図、天気図や風力階級、機器操作、製品取り扱い表示、高齢者や障害者のための支援記号など、身の回りに広く普及している。
2005年(平成17)4月、コミュニケーション支援用絵記号デザイン原則(JIS T0103)規格が制定され、文字や会話によるコミュニケーションの困難な人が、正しく理解できるようにするための規格としてピクトグラムを導入した。以降、基本的な使いやすさ(ユーザビリティ)と、高齢者や障害者への配慮(アクセシビリティ)にかなったユニバーサルデザインとして、食品や薬品などへ表示する取り組みが浸透している。
ピクトグラムは、オーストリアの社会学者、ノイラートが、児童教育のために考案した非言語的な情報伝達方法アイソタイプが原型になったと考えられている。1960年代に入ると、言語の制約を受けない視覚表現の必要性が国際的に重要視されるようになり、日本では、1964年(昭和39)のオリンピック東京大会をきっかけに公共施設に導入された。このときに日本で考案された非常口のサインなど、いくつかの記号は国際的に使用されているが、記号の多くは国により異なっているため、国際標準化が求められている。
[編集部]
(武正秀治 多摩美術大学教授 / 2008年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
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