ボーイング(読み)ぼーいんぐ(英語表記)The Boeing Co.

デジタル大辞泉 「ボーイング」の意味・読み・例文・類語

ボーイング(bowing)

ボウイング

ボーイング(Boeing)

米国の航空機の製造会社。また、その開発・製造による大型爆撃機・旅客機。

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共同通信ニュース用語解説 「ボーイング」の解説

ボーイング

米中西部シカゴに本拠地を置く航空機メーカーで、欧州のエアバスと並ぶ世界大手。1916年創立。民間ジェット旅客機を柱に防衛や宇宙関連などの幅広い事業を手掛け、米国で最大級の輸出企業。最新鋭の主力機「737MAX」が2度の墜落事故を起こして納入停止に追い込まれ、安全を軽視する企業体質との批判が高まった。2019年12月期決算は純損益が1997年以来、22年ぶりの赤字となった。(ニューヨーク共同)

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精選版 日本国語大辞典 「ボーイング」の意味・読み・例文・類語

ボーイング

  1. ( Boeing ) 一九三四年に創立されたアメリカの航空機製造会社、およびその開発・製造による航空機の称。第二次世界大戦中に大型爆撃機の開発と生産でアメリカ屈指の航空機メーカーに成長した。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ボーイング」の意味・わかりやすい解説

ボーイング(Boeing Co.)
ぼーいんぐ
The Boeing Co.

アメリカの航空宇宙工業会社。民間ジェット航空機のほか、軍用機、ミサイル、宇宙機器、ヘリコプターなどの製造を行う。世界最大規模の民間航空機製造メーカーであるとともに、ロッキード・マーチンレイセオンと並ぶアメリカ有数の軍需企業。本社はワシントン州シアトルにあったが、2001年9月イリノイ州シカゴに移転。

[萩原伸次郎]

歴史

ボーイング社の前身は、飛行機製作者のウィリアム・ボーイングが1916年に創設したパシフィック・エアロ・プロダクツPacific Aero Products Co.である。ボーイングは当時、海軍技師ジョージ・ウェスタベルトGeorge Conrad Westerveltとの共同開発による水上機B&Wを製造していた。翌1917年、社名をボーイング・エアプレーンBoeing Airplane Co.に改称。1923年に小型輸送機のモデル40を開発し、1925年モデル40を改良したモデル40Aの製造を開始した。1927年、同型機がアメリカ郵政公社によるサンフランシスコ―シカゴ間の郵便配達に採用されたことにより、飛行機製造とは別に航空輸送業のボーイング・エア・トランスポートBoeing Air Transport(略称BAT)が組織された。1929年、航空機製造と航空輸送業を統括したボーイング・エアプレーン・アンド・トランスポートBoeing Airplane and Transport Corp.は、ユナイテッド・エアクラフト・アンド・トランスポーテーションUnited Aircraft and Transportation Corp.に社名変更した。

 1934年、ユナイテッド・エアクラフト・アンド・トランスポーテーションは反トラスト法によって3分割された。そのうち、アメリカ西部地域での航空機製造を行う会社として、改めて設立されたのが現ボーイング社である。輸送部門はユナイテッド航空United Airlines、アメリカ東部での航空機製造はユナイテッド・エアクラフトUnited Aircraftにそれぞれ分離独立した。ボーイングの製造工場がワシントン州、オレゴン州など西部太平洋岸に集中しているのは、設立時のこうした経緯のためである(最大工場はワシントン州シアトル)。

 第二次世界大戦中、ボーイングは「空の要塞(ようさい)」とよばれたB-17爆撃機の製造を開始。1942年には広島における世界初の原子爆弾投下(1945)の際に使用されたB-29爆撃機の製造を開始した。1952年には、第二次世界大戦後のアメリカ軍の主力爆撃機となったB-52爆撃機を開発した。

 1950年代初頭より同社は民間ジェット航空機の開発にも着手し、ジェット旅客機の第一世代にあたるボーイング707は、1958年にジェット旅客機として初めて商業路線に就航した。1970年、ジャンボ機ボーイング747が運航を開始し、民間大型ジェット輸送機時代の幕開けとなった。1960年代以降の同社は、ヘリコプター、大陸間弾道弾、ALCMなどの巡航ミサイルといった兵器類、F-22戦闘機(ロッキード・マーチンとの共同開発)などの軍用機や、宇宙機器、コンピュータ部門などに事業を拡大し、NASA(アメリカ航空宇宙局)最大の納入業者の一つとなっている。

[萩原伸次郎]

合併とその後の事業展開

ボーイングは民間航空機が主力製品の世界的企業であるが、そのほかに防衛宇宙部門、コンピュータ部門を含めた3部門構成で運営されてきた。1996年12月、冷戦終結後の軍事予算の削減によって苦境に立たされたロックウェル・インターナショナルRockwell International Corp.の航空部門と防衛部門を買収して、ボーイング・ノース・アメリカンBoeing North American, Inc.を設立した。さらに1997年、アメリカ有数の航空機製造・軍需企業のマクダネル・ダグラスとの巨大合併がアメリカ連邦取引委員会、ヨーロッパ委員会に承認され、同年8月新体制で再出発した。これらの買収・合併によって、ボーイングは民間航空機メーカーのナンバー・ワンの地位を保つと同時に、アメリカの防衛産業においても強力な地位を固めた。

 合併後の事業体制は、民間航空機部門のほか、軍用飛行システム、戦略ミサイルロケットエンジン、航空情報システムを設計・製造する情報・宇宙・防衛システム部門(2002年に統合防衛システム部門となる)、コンピュータ、通信、その他のサポートサービスを行うサービス部門の3部門である。

[萩原伸次郎]

その後の動き

主要事業部門に変化はないが、社内で技術開発をサポートするテクノロジー部門と金融サービス部門が加わった。2009年時点で、90か国以上に製品を提供。日本にも民間機ばかりでなく早期警戒管制機AWACS(エーワックス))ボーイングE-767を4機輸出している。従業員数はアメリカ国内と世界70か国に16万人以上、2008年の売上高は609億2500万ドル、純利益27億0200万ドル。売上高構成比率は民間航空機部門46.4%、統合防衛システム部門52.6%、金融サービス部門1%。

[編集部]


ボーイング(William Edward Boeing)
ぼーいんぐ
William Edward Boeing
(1881―1956)

アメリカの飛行機製作者。ドイツ人移民の子に生まれる。エール大学工学部を卒業。初め木材業に従事したが1914年に飛行機製作を思い立ち、1916年パシフィック・エアロ・プロダクツ(1917年ボーイング・エアプレーンと改称)を設立し社長となる。第一次世界大戦後、アメリカの航空拡張政策にのって軍用機から郵便機などの設計製作にも手を広げ、1933年のボーイング247は近代輸送機の原形とされる。第二次世界大戦中は爆撃機B-17とB-29を生産し、日本やドイツへの爆撃に用いられた。その後ボーイング社は747型(ジャンボ機)や、757、767各型の大型旅客機を生産し、アメリカ最大の民間航空機製造メーカーとなったばかりでなく、防衛、宇宙開発に携わるなどアメリカを代表する巨大企業となった。

[佐貫亦男]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ボーイング」の意味・わかりやすい解説

ボーイング
Boeing Company.

アメリカ合衆国の航空機メーカー。前身は 1916年ウィリアム・ボーイングによって設立されたパシフィック・アエロ・プロダクツで,翌 1917年ボーイング・エアプレーンと改称,海軍の飛行艇などを製造した。その後 1920~30年代には練習機,観測機,雷撃機,爆撃機など軍用機の大量受注によって発展,B-17,B-29などの大型爆撃機の開発と生産で航空機メーカーとして大きく成長した。第2次世界大戦後はB-47,B-52などの戦略爆撃機の開発に成功,1950年代半ばから民間輸送機の分野にも進出した。初めてのジェット旅客機 707の成功によって確固たる地位を築き,720,727,737,747,757,767,777,787などを開発して民間旅客機の市場覇権を握った。事業内容は,民間機,軍用機のほか,ミサイル,ミサイル発射制御装置,車両などの製造。 1997年アメリカの航空機メーカー,マクドネル・ダグラスを吸収,戦闘機の分野でもF-15イーグル,F/A-18ホーネット,AV-8Bハリアーなどで地歩を築くこととなった。また軍用ヘリコプタの分野では AH-64アパッチ,CH-47チヌークを生産。ベル・ヘリコプタと共同開発したティルトロータ機V-22オスプレイの生産にもあたっている。 (→ボーイング 707 , ボーイング 747 , ボーイングB-17 , ボーイングB-29 )

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百科事典マイペディア 「ボーイング」の意味・わかりやすい解説

ボーイング[会社]【ボーイング】

大型旅客機で知られる米国の航空機メーカー。1934年設立。第2次大戦でB-17,B-29の4発爆撃機を量産,戦後B-47,B-52のジェット爆撃機を開発,その高い技術を民間機に応用して1957年に世界最初の本格的長距離ジェット旅客機707を完成。引き続き727,737,747(初のジャンボジェット旅客機),757,767,777,787を就航させた。旅客機のほかにも通信用衛星,デルタロケット(衛星打ち上げ用ロケット),スペースシャトルも手がけるなど,宇宙部門にも注力。国際宇宙ステーション建設の中核企業でもある。1997年,アメリカを代表する軍需企業マクダネル・ダグラス社を買収し,軍事・宇宙部門でも世界のトップに。本社イリノイ州シカゴ。2011年12月期売上高687億ドル。
→関連項目ウィチタ日航ジャンボ機墜落事故ロックウェル・オートメーション[会社]

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改訂新版 世界大百科事典 「ボーイング」の意味・わかりやすい解説

ボーイング
bowing

バイオリンやチェロなどの擦弦楽器における弓の扱い方。運弓法ともいう。ボーイングは音の長さ,根本的性格,ダイナミックス,他の音との結合のしかたを決定し,さらに感情を表現することができる。最初に運弓技術の可能性を追究したのはコレリとビバルディであるが,その後パガニーニは弓製作家のF.トゥールトが1820年ころ完成した現代の弓の性能を駆使して,音の深い陰影と表情を生み出すことに成功した。ボーイングには弓の使用部分と使い方によってさまざまな種類があるが,基本的には弓先から始まる運動である上げ弓up bow(∨の印)と,手元から始まる運動である下げ弓down bow(Πの印)とに大別される。レガートは一弓できわめて滑らかに奏し,音と音とを短く切るスタッカート奏法では手首から先を使い各音の間で弓を止める。さらに,弓を大きく使い各音をはっきり分離させるデタッシュ,弓先で固くスタッカートを行うマルトレ,弓の重心点で弾力性を利用して弓を跳躍させるスピッカートなどがある。
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