マクロン(読み)まくろん(英語表記)Emmanuel Macron

デジタル大辞泉 「マクロン」の意味・読み・例文・類語

マクロン(Emmanuel Macron)

[1977~ ]フランス政治家。第25代大統領。財務省投資銀行職員を経て、2012年にオランド政権の大統領府に入る。2014年、経済産業デジタル大臣に。みずから政治団体を創設し、2017年の大統領選で第五共和制史上初めて、保革2大政党以外から当選した。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「マクロン」の意味・わかりやすい解説

マクロン
まくろん
Emmanuel Macron
(1977― )

フランスの政治家。2017年、39歳の若さで第五共和政下8人目の民選大統領となった。

 生まれは北仏アミアン。12月21日、医師の両親の間に誕生。イエズス会が運営する地元のリセ(後期中等教育機関)、次いでパリのリセ・アンリ4世に移り、同校を卒業。この間、文学や演劇に親しむ。のちパリ第十大学(ナンテール校)にて哲学・政治学を修め、マキャベッリについて修士論文ヘーゲルに関する学位申請資格(DEA)論文を執筆。哲学者ポール・リクール助手を務め、雑誌『エスプリ』の編集に携わった。地元のリセで出会った24歳年上の演劇教師ブリジットBrigitte Macron(1953― )とのち2007年に結婚している。

 2001年にパリ政治学院卒。希望した高等師範学校(エコール・ノルマル・シュペリュール)には入れなかったが、2004年国立行政学院(エコール・ナショナル・ダドミニストラシオン)を卒業後、財務監督官として公的キャリアを開始。2006~2009年には社会党員。国民議会や地方首長選への出馬模索、検討する。2008年には行政官を辞し、ロスチャイルド銀行に入行して巨額の資金を動かした。

 2012年から社会党オランド新大統領のもとで大統領府副事務総長を務め、2014年にはバルスManuel Carlos Valls(1962― )内閣の経済産業デジタル相に就任。いわゆるマクロン法(「経済の機会均等・経済活動・成長のための法律」)を成立させ、労働時間規制の緩和などによる投資・経済成長の促進に努めた。

 2016年春、翌2017年の大統領選を視野に、自前の政治運動「前進!」を立ち上げた。同年夏、大臣職を辞し、左右対立の止揚、独仏協調・ヨーロッパ統合、労働法制の改革などを訴えた。主要政党が左右に両極化し、有力候補がスキャンダルにまみれるなか、2017年4月の第1回投票でトップにたち、5月決選投票で極右国民戦線マリーヌ・ル・ペン候補を大差で退け、任期5年の大統領に当選。さらに6月の議会下院選でも自党が圧倒的多数を得て、安定政権を手にした。

[遠藤 乾 2018年2月16日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マクロン」の意味・わかりやすい解説

マクロン
Macron, Emmanuel

[生]1977.12.21. アミアン
フランスの銀行家,政治家。大統領(在任 2017~ )。フランス史上,ナポレオン1世に次いで最も若い国家元首となった。リベラルな政治観をもつ医師の家庭に,3人の子の第1子として生まれた。アミアンの私立のリセに通った学生時代は,ずばぬけた秀才であったという。この時期に,演劇の教師だったブリジット・トロニューとの長年にわたる交際が始まり,2007年に 2人は結婚した。2004年エコール・ナシオナル・ダドミニストラシオン ENA卒業後,フランス経済財務省の財政監察官となる。2008年にはロスチャイルド系の銀行に投資担当として入行した。2012年にフランソア・オランドが大統領に就任すると,大統領首席補佐官代行兼経済顧問として政権に加わった。諸外国との首脳会談の場でフランスの顔として活躍し,2014年に財務大臣に登用された。やがて,国内経済の沈滞とヨーロッパで続く移民問題をうけてオランドの支持率が急落すると,2016年4月,硬直した既存の体制に対抗する民主革命とみずからが位置づける政治運動「前進!」の結成を発表。同 2016年8月30日に大臣を辞任し,11月16日には大統領選挙への出馬を正式に表明した。2017年4月23日に行なわれた大統領選挙の第1回投票では 24%の得票率で首位に立ったものの,対立候補の国民戦線党首マリーヌ・ルペンとの差はごくわずかであった。しかし 5月7日の決選投票では 3分の2の票を獲得して圧勝した。

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