改訂新版 世界大百科事典 「マメゾウムシ」の意味・わかりやすい解説
マメゾウムシ (豆象虫)
甲虫目マメゾウ科Bruchidaeの昆虫の総称。世界から1400種近くが知られるが,アジア,アフリカ,中央~南アメリカの熱帯に多くの種類が分布する。日本からはこれまでに23種が記録されている。幼虫の寄主植物として24科,400種が知られるが,その名のようにマメ科の植物の種子に寄生するものが多い。また約20種が食用マメ類を加害する。英名でもseed beetle,legume seed weevil,pulse beetleなどと呼ばれる。分類上はゾウムシ科よりもハムシ科やカミキリムシ科に近い。体長2~5mmの小型の種類が多い。触角がのこぎり歯状や櫛(くし)状のものが少なくない。上翅には条溝があり,腹部の後方(尾節板)が大きく裸出する。幼虫はよく肥満し,腹方へ曲がる。胸脚は微細。
ソラマメゾウムシ,エンドウゾウムシなど野外型と呼ばれるものは成虫が畑の未熟なさや(鞘)に産卵。豆に潜り込んだ幼虫は豆の成熟とともに育つ。したがって完熟した豆だけでは生活を繰り返すことができない。一方,アズキゾウムシ,ヨツモンマメゾウムシなど屋内型と呼ばれるものは完熟した豆だけで生活を繰り返すことができる。食用マメの害虫として知られるマメゾウムシ類には穀類について分布を広げたものが多い。現在日本にいるソラマメゾウムシ,エンドウゾウムシも外国から侵入した種である。
執筆者:林 長閑
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報