マングース(その他表記)mongoose

翻訳|mongoose

デジタル大辞泉 「マングース」の意味・読み・例文・類語

マングース(mongoose)

ジャコウネコ科の哺乳類のうち、小形の一群の総称。アフリカインド東南アジアに分布し、ネコイタチともいう。ふつうはインドマングースをさし、体長約45センチ、尾も同じくらい長く、灰褐色。インドからアラビア半島にかけて分布。夜間に活動し、ネズミ・蛇などを捕食する。明治末、沖縄にハブ退治のため移入された。

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共同通信ニュース用語解説 「マングース」の解説

マングース

外来生物法の「特定外来生物」に指定されているフイリマングースは、もともと南アジアに広く生息しており、1910年、現在のバングラデシュからハブなどの駆除目的で沖縄に持ち込まれたとされる。奄美大島では79年に放たれた。体長は50~60センチ程度。脚が短く俊敏で、昆虫やヘビ、鳥や哺乳類、植物などを食べる。80年代に農畜産物に被害が出始めた。奄美大島では希少種アマミノクロウサギアマミヤマシギも捕食。環境省によると、2000年度以降、24年度前期までの防除事業費総額は約35億7千万円。

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精選版 日本国語大辞典 「マングース」の意味・読み・例文・類語

マングース

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] mongoose )
  2. マングース科の哺乳類の総称。体形はイタチに似て細身だが、四肢が長く吻がとがり、尾は根元が太く先が細い。体長一八~六五センチメートル、尾長一二~五五センチメートル。一七属三七種がアフリカ・マダガスカルから南~東南アジアに分布し、生息場所や生態はさまざま。一般にネズミや昆虫など小動物を捕食する。ネコイタチ。
  3. マングース科の哺乳類。体長約四五センチメートルでイタチに似る。体は灰褐色。インドからアラビアにかけて分布。草原や森林にすみ、ノネズミ・ヘビ・鳥のほか毒ヘビも食べる。動作は敏速。沖縄などではハブ駆除のために移入したものが野生化し、ハブよりも稀少種を含むネズミや小鳥をよく捕食し、生態系に悪影響を与えている。ハイイロマングース。インドマングース。へびくいねずみ。
    1. [初出の実例]「毒蛇とマングースと命がけの争闘」(出典:映画時代(1930)〈寺田寅彦〉)

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改訂新版 世界大百科事典 「マングース」の意味・わかりやすい解説

マングース
mongoose

イタチに似るが吻(ふん)がとがり,四肢が長く,ネコイタチの別名がある。食肉目ジャコウネコ科マングース亜科およびマラガシーマングース亜科の哺乳類の総称。アジア南東部から南部を経て,アフリカおよびマダガスカルに広く分布し,マングース亜科Herpestinae(英名mongoose)にはおよそ13属32種,マラガシーマングース亜科Galidiinae(英名Malagasy mongoose。マラガシーはマダガスカルの意)に4属4種がある。体長18~65cm,尾長12~53cm,体重230~5200g。体はほっそりと長く,比較的長い四肢と尾,小さな耳をもつ。尾には長毛があり房状で,先が細い。ふつう各足とも5指で,かぎづめがある。体は多くは単調な灰色,斑紋のある褐色,あるいは明るい灰色か白色の霜降り状で,横縞をもつものもある。ふつう腹面は背よりも淡くなく,腹面と四肢が黒い。

 低地から高地,森林から低木林,サバンナから半砂漠まで,種々の環境にすみ,水生に適応したミズマングース(ヌママングース)Atilax paludinosus(サハラ以南のアフリカに分布),食物の大半を水中でとらえるカニクイマングースHerpestes urva(東南アジア)もある。多くのものは単独で生活し,繁殖期のみつがいを形成するが,最小種のコビトマングースHelogale parvula(東・南アフリカ)のように2~5頭の群れで日中活動をするものや,10~24頭の群れをつくるクシマンセCrossarchus obscurus(英名cusimanse。アフリカのギニア北岸),数十頭で地中の穴を巣とするキイロマングースCynictis penicillata(アフリカ南部)やスリカタ(ミーアキャット,ミーアカット)Suricata suricatta(アフリカ南部)などがある。

 大部分の種類は地上生だが,巧みに木に登るものもあり,シマオマングース(ワオマングース)Galidia elegans(マダガスカル)はふつうに木に登る。昼行性のものが多いが,最大種のオジロマングース(シロオマングース)Ichneumia albicauda(アラビア半島南部とサハラ以南のアフリカ)のように夜行性のものもある。マングースの主食は昆虫,トカゲ,鳥,小型哺乳類などだが,メラーズマングースRhynchogale melleri(アフリカ東・南部)のように果実を好むものやカニクイマングースのようにカエルやカニ,魚をとるものもある。シママングースMungos mungoなどでは,卵などを石に投げつけたりして割る習性も知られている。

 マングースが毒ヘビを殺すのは有名だが,なかでもインドマングース(ハイイロマングース)Herpestes edwardsiとインドコブラやハブなどとの闘いは見世物にもなっている。このマングースはヘビの毒に対して免疫をもっているといわれてきたが,決してそうではなく,敏しょうに動いて巧みに毒牙(どくが)を避けているにすぎない。こうした狩猟技術をもっているのでインドマングースはヘビ退治やネズミ退治を目的として,ハワイ,ジャマイカ,沖縄などへ移入された。しかし,ヘビやネズミ以外にもその土地特産の小動物や家禽(かきん)類をも襲うので,益獣と害獣の2面をもっていることがわかり,近年では移入はされていない。

 妊娠期間42~105日,1産1~7子。寿命は飼育下で20年以上の記録がある(エジプトマングースHerpestes ichneumon)。なお,エジプトマングースは“イクネブモン”と呼ばれて古代エジプト人に崇拝された。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「マングース」の意味・わかりやすい解説

マングース
まんぐーす
mongoose

広義には哺乳(ほにゅう)綱食肉目ジャコウネコ科のマングース亜科とマラガシーマングース亜科に属する動物の総称で、狭義にはそのうちの1種をさす。ネコイタチともいう。マングース亜科Herpestinaeは13属27種からなり、会陰部ににおいを出す臭腺(しゅうせん)がない。マラガシーマングース亜科Galidiinaeはマダガスカル島に固有の4属4種からなり、乳頭が1対しかなく、一部のものには臭腺がある。

 マングースの大きさは、頭胴長24センチメートルのミナミコビトマングースHelogale parvulaから、58センチメートルのシロオマングースIchneumia albicaudaまで変化に富む。前・後足に4本または5本の指があり、つめは引っ込めることができない。多くの種にはジャコウネコのような鮮やかな斑紋(はんもん)がなく、耳介が小さい。マダガスカル島、アフリカからインドを経て、東南アジアに広く分布し、森林、疎林、サバナ、半砂漠などにすむ。多くは地上生であるが、ときに水生や樹上生のものもある。また、群れをつくって生活する種や、単独生活する種などがある。潜水や水泳が巧みなカニクイマングースHerpestes urva、背に縞(しま)模様があるシママングースMungos mungo、小形のコビトマングース属Helogaleなどが含まれる。

 狭義にマングースとよばれるのはインドマングース(ハイイロマングース)Herpestes edwardsiで、アラビア半島からネパール、インド、スリランカに分布する。中形で、頭胴長45センチメートル、尾もほぼ同長、体背面は灰色または灰褐色をしている。前・後足に5指があり、前足に鋭く曲がったつめがある。雑木林、耕作地、人家付近を日夜活動し、小哺乳類、小鳥、卵、ヘビ、トカゲ、カエル、魚、カニ類、昆虫、サソリなどを捕食し、ときに果実も食べる。また、家禽(かきん)を襲うこともある。隠れ場は岩の割れ目、樹洞、地面にある大きな穴などである。繁殖期以外は単独で生活する。妊娠期間は60~65日、1産2~4子を産む。コブラやハブの天敵として著名で、1910年(明治43)に沖縄本島や渡名喜(となき)島にハブ退治のために移入されたのは本種である。

[吉行瑞子]


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百科事典マイペディア 「マングース」の意味・わかりやすい解説

マングース

ネコイタチとも。食肉目ジャコウネコ科の哺乳(ほにゅう)類37種の総称,またはハイイロマングースをさす。体長18〜65cm,尾12〜53cm。体は細長く,四肢は短い。1本の毛には黒と白または褐色の縞(しま)があるため,全体としては霜降にみえる。アラビア〜インド,アフリカ,マダガスカルに分布。低地から高地,森林から低木林,サバンナから半砂漠までさまざまな環境にすむ。昆虫,ウサギ,ネズミ,鳥,ヘビ,トカゲなどや果実も食べる。動作がすばやく,コブラなどの猛毒をもつヘビをもよく捕食する。沖縄,ジャマイカなどへ,毒ヘビやネズミ駆除の目的で移入されたが,各地の特産の小動物や家禽をも襲うので害獣ともなっている。
→関連項目帰化動物

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マングース」の意味・わかりやすい解説

マングース

「インドマングース」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内のマングースの言及

【帰化生物】より

… 帰化動物には,人間が意識して有用な動物を移入し,帰化を図った場合と,人間がそのような意識なしに動物を移入し,偶然の機会に帰化した場合とがある。人間が意識的に帰化を図って成功したものとしては,日本には,沖縄県が毒ヘビ,とくにハブの駆除を目的として,1910年にインドから移入し渡名喜島などに放したマングース,農林省が狩猟鳥を増やす目的で,19‐20年に中国南部から移入し,東京と神奈川に放したコジュケイ,同じく30年ころから数次にわたって朝鮮から移入し,北海道日高に放鳥したコウライキジ,カの駆除を目的に台湾から移入し,東京,千葉などで野生化している北アメリカ原産のカダヤシ(タップミノー),食用に中国から移入し,利根川水系で野生化しているソウギョなどがある。 偶然に帰化したものとしては,飼育していたものが逃げ出して定着したものに,1918年ころから食用に北アメリカから移入し,各地で養殖していたが,その一部が逃げ出して各地に野生化したウシガエル,そのウシガエルの餌として30年ころ神奈川に移入して養殖していたところ,大雨による出水で逃げ出して,付近の水田などに野生化し,しだいに各地に分布を広げたといわれる北アメリカ産のアメリカザリガニ,35年ころ食用に台湾から移入したものが,小笠原,奄美,沖縄などに野生化した,アフリカ原産のアフリカマイマイなどがある。…

※「マングース」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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