メタン(読み)めたん(その他表記)methane

翻訳|methane

デジタル大辞泉 「メタン」の意味・読み・例文・類語

メタン(methane)

メタン系炭化水素で最も簡単なもの。無色無臭可燃性気体天然ガス石油分解ガスなどに多量に含まれ、炭坑内にも発生して爆発原因となる。沼地湿地などからも有機物腐敗発酵したときに発生し、沼気とよばれる。水素や他の炭化水素と混ぜ、都市ガスなどの燃料として用いる。化学式CH4

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「メタン」の意味・読み・例文・類語

メタン

  1. 〘 名詞 〙 ( [ドイツ語] Methan ) 天然ガスの主成分。化学式は CH4 沼地などで有機物の腐敗によっても発生するため沼気とも呼ばれる。無味、無臭、無色、可燃性で、化学的には安定で反応しにくい。燃料のほか、メチルアルコールアンモニアアセチレン等の原料に用いられる。メタンガス。〔外来語辞典(1914)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「メタン」の意味・わかりやすい解説

メタン
めたん
methane

アルカンのなかで炭素数のもっとも少ないもので、沼気(しょうき)marsh gasともいう。その名のとおり、沼の底の泥土中で枯れた植物等の有機物が発酵して生じる。また天然ガスの主成分でもある。石油留分や石炭の熱分解生成ガス中にも含まれる。無色、無臭の可燃性気体。

 メタンの分子は、四つの水素原子を頂点として炭素原子がその中心に位置する正四面体構造をとっていて、きわめて対称性がよく、炭素‐水素結合距離は0.109ナノメートル、すべてのHCH角は109°28′の四面体角である()。

 燃料として用いられるが、空気中に15~50容量%含まれている混合ガスは爆発する。家庭用天然ガスの主成分である。燃料以外の用途としては、酸化によってホルムアルデヒドHCHOや、メタノール(メチルアルコール)CH3OHに変えたり、塩素と反応させて塩化メチレンCH2Cl2、クロロホルムCHCl3、四塩化炭素CCl4を得る反応などが工業的に利用されている。

[佐藤武雄・廣田 穰 2016年11月18日]



メタン(データノート)
めたんでーたのーと

メタン
  CH4
 分子量  16.0
 融点   -182.76℃
 沸点   -161.49℃
 比重   0.415(沸点)
      0.555(空気=1)
 密度   0.717g/L(気体、0℃、1気圧)
 発火温度 537℃
 引火点  -188℃
 爆発限界 5.3~14容量%

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「メタン」の意味・わかりやすい解説

メタン
methane

炭化水素の最も簡単なもの。化学式CH4で表され,図に示すような四面体構造をもつ。沼池などにおいて有機物の腐敗により生じる沼気marsh gasとして古くから知られている。天然ガスの主成分として産するほか,石炭や石油の熱分解などの際に発生するガス中に含まれる。メタンガスというときは,一般にメタンを主成分とする天然ガスをさすことが多い。無色,無味,無臭の可燃性の気体で,融点-182.76℃,沸点-161.49℃。水にはほとんど溶けず,エチルアルコール,エーテルにわずか溶ける。用途としては,メチルアルコール合成に重要な合成ガス(一酸化炭素と水素の混合ガス),水素,カーボンブラック,塩素化メタンなどの製造原料や燃料がある。
執筆者:


出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「メタン」の意味・わかりやすい解説

メタン

化学式はCH4。最も簡単なメタン系炭化水素。可燃性の無色無臭の気体。融点−182.6℃,沸点−161.5℃。化学的に安定。高温で水素と炭素に分解。塩素化反応を受け,また触媒存在下では水,酸素などと反応し一酸化炭素と水素を生じる。燃料,メタノール,水素,カーボンブラックなどの製造原料として用いられる。沼などで有機物の腐敗発酵により生成するので沼気とも呼ばれた。工業的には天然ガス,石油の分解ガスとして得られる。
→関連項目石炭ガス炭鉱爆薬地球温暖化メタン・ハイドレート

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

化学辞典 第2版 「メタン」の解説

メタン
メタン
methane

CH4(16.04).可燃性天然ガス,および有機物の腐敗,発酵により生成する沼気の主成分.石炭,石油系炭化水素などの熱分解により発生するガス中に含まれる.実験室的には,ヨウ化メチルマグネシウム(グリニャール試薬)と水を反応させるか,または酢酸ナトリウムをソーダ灰とともに金属製フラスコ中で乾留する合成法がある.工業的には,天然ガス,石油系炭化水素分解ガス,コークス炉ガスなどから分離製造される.四面体構造をもつ.C-H0.1091 nm.無味,無臭,無色の引火性の気体.融点-182.48 ℃,沸点-161.49 ℃.水に難溶,エタノール,エーテル,炭化水素油に微溶.爆発範囲5.0~15.0体積%.わが国では,おもに水素および合成ガスの原料,および都市ガスや火力発電所の燃料として用いられる.[CAS 74-82-8]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「メタン」の意味・わかりやすい解説

メタン
methane

化学式 CH4 。最も簡単なメタン系炭化水素で,天然ガスの主成分をなしている。また石炭ガスにも 25~30%含まれる。有機物の分解,たとえばセルロースの腐敗,発酵の際に生成され,沼気ともいわれる。また炭坑内に発生し,空気と混合して爆発を起すことがある。融点-184℃,沸点-164℃。無色,無臭の可燃性気体。アルコール,エーテルに易溶。工業的には天然ガスから分離されるが,実験室では酢酸ナトリウムとソーダ石灰の混合物を熱してつくられる。直接燃料として使用されるほか,メタン系製品原料として重要である。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

栄養・生化学辞典 「メタン」の解説

メタン

 CH4 (mw16.04).可燃性の気体で,無色,無臭.反すう動物の反すう胃内,大腸での発酵などでも生成する.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

今日のキーワード

仕事納

〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...

仕事納の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android