メタンハイドレート

デジタル大辞泉 「メタンハイドレート」の意味・読み・例文・類語

メタン‐ハイドレート(methane hydrate)

ガスハイドレート一種大陸棚斜面の海底下数百メートルまでの地中シベリアアラスカ永久凍土中など低温・高圧の場所で、水分子とメタン分子とが結合して氷状になった化合物。メタンは天然ガス主成分であることから、将来資源として期待が高い。燃える氷。

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百科事典マイペディア 「メタンハイドレート」の意味・わかりやすい解説

メタン・ハイドレート

水分子にメタンが結合し,シャーベット状になったもの。メタン水化物とも。メタンは炭素含有量が少なく,比較的クリーンな未来の天然ガス資源として注目されている。主に水深200m以深の大陸棚縁辺部,シベリアなどの永久凍土の下に存在。日本近海では,南海トラフオホーツク海などに存在すると考えられ,日本周辺の埋蔵量は,現在の日本の天然ガス使用量に換算して100年分にもおよぶと推定されている。国内での研究は,工業技術院地質研究所で1970年代から始まり,1999年度に基礎試錐を実施することを目指し探鉱・掘削技術の開発が進められている。

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知恵蔵 「メタンハイドレート」の解説

メタンハイドレート

メタンや二酸化炭素などが、低温で数十気圧以上の水圧下で水分子間に入り込んで結合して固化したもの。深海掘削により、大陸斜面の水深700〜4000mの海底堆積物中に、広範囲に分布していることが確認されている。日本周辺では南海トラフや日本海陸側斜面に、大量に存在する可能性が高い。海底下数百m以深では地熱の影響でハイドレートは分解して遊離メタンに戻っていて、その境界面は明瞭な音波反射面(海底相似面=BSR : bottom simulating reflector)として海上からの連続音波探査で視認できる。メタンは二酸化炭素をほとんど出さないエネルギー資源として注目されているが、安価で確実な回収方法の確立が鍵となる。

(小林和男 東京大学名誉教授 / 2007年)

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化学辞典 第2版 「メタンハイドレート」の解説

メタンハイドレート
メタンハイドレート
methane hydrate

水分子が内部空孔をもった立体網目状構造をつくり,その空孔にガス分子が取り込まれている包接化合物の一種で,低温・高圧環境下で水分子の結晶構造のなかにメタン分子が取り込まれた固体のことをいう.可燃性.大陸棚の水深数百メートルから5000メートルの深海の海底や,北極南極圏の凍土地帯に分布する.日本近海にも大量に存在するといわれており,新しい天然ガス資源として期待されている.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報