アメリカ大リーグ機構(MLB)とアメリカ大リーグ選手会が主催する野球の国・地域別対抗戦。WBCともよばれる。MLBの海外市場開拓戦略の一環として、野球の魅力を世界に広める目的で2006年に第1回、2009年に第2回が開催され、以後、ほぼ4年ごとに開かれている。第1回、第2回大会は日本が優勝し、第3回大会はドミニカ共和国、第4回大会はアメリカ、第5回大会は日本が優勝した。2012年に野球が夏季オリンピック種目から外れたため、これにかわる野球の世界大会として北米や東アジアで関心が高まった。世界野球ソフトボール連盟(WBSC)は野球の世界一決定戦と認定している。なお、2015年からは、WBC開催の中間年に、WBSCが野球の世界ランキング上位12か国・地域のチームによる国際大会「プレミア12」を開いている。
クラシックには「伝統の大会」という意味があり、MLBの夏のオールスター・ゲームや秋のワールド・シリーズと同じく格の高い大会と位置づけられている。2009年の第2回大会までは、まず16チームが一次ラウンドを戦い、この上位8チームが二次ラウンドに進み、最後に上位4チームが決勝トーナメントに進むシステムであった。2013年の第3回大会からは、参加国・地域が28に増え、予選を導入した。収益の過半は大リーグ機構など各国の運営組織に入り、残りを成績によって各チームに配分する。使用する公式球、ボークの判定基準、ボールカウントのコール順などはすべて大リーグ方式を採用している。この影響で、日本のプロ野球は2010年(平成22)からストライクよりボールを先にコールするアメリカ方式に変更。また、2011年からは、球団ごとにばらばらであった試合球を、アメリカの大リーグ公式球に近い統一球にそろえた。
[矢野 武 2023年5月18日]
2023年に開催された第5回大会では、本大会参加チーム数が前回の16チームから20チームに拡大され、四つのプールに分かれて総当りのリーグ戦を争い、各プールの上位2チーム、計8チームがトーナメント戦を繰り広げて優勝チームを決定する方式がとられた。このほかのおもな変更点としては、投手への負担を軽減するため、各チーム登録選手30名のうち14名以上を投手とすることや、大会途中でも投手のみ4人の入れ替えを可能とした。一方、投手は打者3人と対戦、あるいはそのイニングを終了するまで交代できず、ワンポイント継投は禁止された。第3回大会から導入されたタイブレークは延長10回から(前2大会はそれぞれ13回、11回から)に変更。また、指名打者(DH)が投手として先発したときに、投手降板しても継続してDHとして出場でき、DHに代打を出されても投手としては登板を続けられることになり、投打二刀流の選手に活躍の道が開かれた。
[編集部 2023年5月18日]
(武田薫 スポーツライター / 2008年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
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