翻訳|depression
経済の全体的な活動状態が沈滞していること,またはその時期のこと。不景気ともいう。反対に経済活動が活発であること,またはその時期を好況prosperityという。近代の歴史をみると,好況と不況が交互に,しかもある程度の周期性をもちながら現れてきているが,その現象を景気循環という。不況期には生産が減少し,雇用も減退する。さらに企業の倒産や失業が増加する。このような状況が経済全体に急激に現れるときのことを恐慌という。
景気の状態を判断する指標としては,一般に,(1)経済統計そのもの,たとえばGNP,鉱工業生産指数,企業収益など,(2)景気そのものの状態を判断するためにとくにつくられた景気動向指数(ディフュージョン・インデックス,DI),(3)サーベイ・データ,たとえば企業経営者見通し,法人企業投資動向調査などで,売上げ,収益などの先行きの予想,の3種類がある(〈景気指標〉の項参照)。
なお不況から好況への回復期を景気回復期recovery,経済活動のゆるやかな縮小で不況にまで至らない状態を景気後退あるいはリセッションrecessionという。
執筆者:黒田 満
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
資本主義経済において、有効需要の不足などのために経済活動が停滞している状況をいう。景気循環の一局面として好況と対応して用いられる場合と、構造不況、世界同時不況などのように、構造的、傾向的な現象としてみられる場合とがある。いずれの場合でもそれは、投資の減退、生産・消費の減少、失業・倒産の増加、賃金・物価・株価・金利などの低下として現れるが、もっとも本質的な指標は企業利潤の減退である。
[一杉哲也]
…このようにして〈哲学でも,政治でも,また詩や芸術でも,真に傑出した人物はみなメランコリアである〉という公理が成立し,天才性とメランコリーとの関係は当時の思想家や芸術家のあいだで広く受け入れられていく。こうした考えが人口に膾炙(かいしや)するにつれてメランコリーの概念がますます広まっていったのは当然で,そのため,精神医学が近代医学の一分野として整備される19世紀に入ると,しだいにメランコリーの語は医書から姿を消し,かわって〈デプレッションdepression〉という用語が登場するようになる。しかし,メランコリーは医学の分野でこそ影がうすくなったものの,近代人の〈暗く物憂い気分〉をあらわすのにぴったりの言葉として欧米の日常語のなかに定着し,むしろ〈黒胆汁病〉としての古い由来はすっかり忘れられてしまっている。…
…国際カルテルにおいても,主として価格,生産数量,販路について協定がなされるが,特許等のライセンスや技術提携に付随して行われることが多い。
[成立・存続の条件]
カルテルは〈不況の子〉といわれるように,不況期にしばしば結成される。不況期には,需要の停滞による超過供給から価格の低落が生ずる。…
※「不況」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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