知恵蔵 「世界水泳選手権」の解説
世界水泳選手権
第1回は、1973年にユーゴスラビア(現セルビア)のベオグラードで行われた。2001年から隔年開催が固定し、夏季オリンピックの前年と翌年に開催されている。オリンピックの正式種目に無い、自由形以外の50m種目も行われるのが特徴。
世界水泳選手権が長水路(50mプールを使用)であるのに対し、「世界短水路選手権」と呼ばれる短水路(25mプールを使用)の世界選手権も、FINAによって開催されている。世界短水路選手権は、93年に第1回が行われ、世界水泳選手権(いわゆる世界水泳)の開催が無い年に隔年で行われている。次回は世界短水路選手権が10年にドバイ(アラブ首長国連邦)で、世界水泳選手権が11年に上海(中国)で行われる。
09年7月18日~8月2日にローマ(イタリア)で行われた第13回世界水泳では、5競技(シンクロナイズド・スイミング、競泳、飛び込み、水球、オープンウォーター・スイミング)65種目が競われた。シンクロナイズド・スイミング日本代表は、正式種目として競技が実施されたオリンピック7大会と世界水泳13大会を通じ、連続してメダルを獲得してきたが、今大会ではメダルを逃した。競泳では、古賀淳也が男子背泳ぎ100mで金メダル(大会新記録)、同50mで銀メダル(日本新記録)を獲得、男子200mバタフライでは松田丈志が銅メダルを獲得した。09年5月の競泳日豪対抗・男子背泳ぎ200mで従来の世界記録を1秒以上上まわるタイムで優勝しながら、水着規定違反により世界記録の認定を逃した入江陵介は、本大会同種目では銀メダルを獲得した。タイムは日豪対抗の「幻の世界記録」を上まわる日本新記録だったが、従来の世界記録保持者アーロン・ピアソル(米国)が世界新記録を出し、及ばなかった。
競泳用水着規定は、スピード社レーザー・レーサーをめぐる08年の騒動以来、大問題となっており、国際水泳連盟は本大会期間中に新素材の使用を事実上禁止する新規定を発表した。新規定は10年から実施され、本大会には適用しない。
(葛西奈津子 フリーランスライター / 2009年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報