中部電力(読み)ちゅうぶでんりょく

百科事典マイペディア 「中部電力」の意味・わかりやすい解説

中部電力[株]【ちゅうぶでんりょく】

1951年電力再編成により中部配電,日本発送電(一部)の事業を継承して設立。9電力会社の一つ。中部財界を代表し,近年は通信事業に意欲的。供給区域は愛知長野と,岐阜三重の各大部分,富士川以西の静岡。水力,火力,原子力計194の発電所をもつ。原子力発電所は静岡県御前崎市の浜岡原発。浜岡原発は将来大地震が予想される東海地震の予想震源域内にある。福島第一原発の大事故を受け,2011年5月6日,政府は,中部電力に対して,東海地震の発生予想確率の高さを理由として,浜岡原発原子炉すべての停止を要請,9日,中部電力はこの要請を受け入れ,運転中の4,5号機を停止した。中部電力は津波に対する安全性を高める対策を講じて運転再開を目指すとしているが,2013年4月に提示された原子力規制委員会の新規制基準案(7月より実施)では,フィルター付きベント(排気)設備の設置,遠隔で原子炉冷却をする緊急時制御室の設置,最大級の基準津波の策定等々,これまで未対応か,さらに莫大なコスト増となる可能性のある基準が示されている。2012年12月に内閣府が示した南海トラフ巨大地震の津波想定を,さらに上回る津波想定がなされる可能性もあり,さらに再稼働のための負担は増える可能性がある。中部電力は2014年2月,浜岡4号機の適合審査を原子力規制委員会に申請したが,審査で,竜巻外部からの火災への対応などについても安全性を自社で評価した結果の提出を求められた。中部電力は,3号機の審査でも同様の項目が必要になると見込まれるため,2015年3月末までの申請をあきらめ,事故発生の確率分析などのデータをそろえたうえで早期申請を目指すとしている。1,2号機は廃炉作業中。2008年度販売電力量1297億kWhで東京電力関西電力に次ぎ3位。本社名古屋。2011年資本金4307億円,2011年3月期売上高2兆3308億円。売上構成(%)は,電気92,エネルギー2,その他6。→電気事業
→関連項目奥美濃[発電所]川越[発電所]知多[発電所]敦賀原発碧南[発電所]

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「中部電力」の意味・わかりやすい解説

中部電力(株)
ちゅうぶでんりょく

業界第3位の民間電力会社。供給区域は愛知、岐阜、三重、静岡、長野の5県。1951年(昭和26)、電気事業再編成の一環として旧中部配電の供給区域を継承して設立された。中部地方における電気事業の歴史は全国的にも古く、1887年(明治20)の名古屋電灯の創立にさかのぼる。中部電力は、太平洋ベルト地帯の中央部に位置する供給区域の電力需要の増大に対応して、大容量火力を中心に次々と発電所を建設。静岡県御前崎(おまえざき)市で原子力発電にも取り組んでいる(浜岡原子力発電所。1号機は1976年運転開始。2008年(平成20)3月末現在の出力は488万キロワット)。このほかの原子力発電所としては、1963年芦浜(三重県)に建設を計画したが、2000年に断念した。資本金4308億円(2008)、売上高2兆4329億円(2008。連結ベース)、販売電力量は1375億キロワット時(2007年度)。浜岡原子力、川越(かわごえ)火力など、多くの発電所をもつ。

[橘川武郎]

『中部電力電気事業史編纂委員会編『中部地方電気事業史』(1995・中部電力)』『社史編纂会議編『中部電力50年史』(2001・中部電力)』『橘川武郎著『日本電力業発展のダイナミズム』(2004・名古屋大学出版会)』

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日本の企業がわかる事典2014-2015 「中部電力」の解説

中部電力

正式社名「中部電力株式会社」。英文社名「Chubu Electric Power Company, Incorporated」。電力会社。昭和26年(1951)設立。本社は名古屋市東区東新町。供給区域は愛知・長野県と岐阜・三重・静岡県の一部。地元新規事業へ出資するなど中部財界の中核。東京証券取引所第1部・名古屋証券取引所第1部上場。証券コード9502。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「中部電力」の意味・わかりやすい解説

中部電力
ちゅうぶでんりょく

電力会社。電力供給区域は愛知県,長野県,静岡県(富士川以西)と岐阜県,三重県の各一部。1951年電気事業再編成令により中部配電と日本発送電株式会社の共同出資で設立。浜岡原子力発電所のほか,火力発電所,水力発電所,変電所などを運用。

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