人民武装警察部隊(読み)じんみんぶそうけいさつぶたい

知恵蔵 「人民武装警察部隊」の解説

人民武装警察部隊

中国では武警として知られる人民武装警察部隊が日本でも知られる存在となったのは、2002年5月に瀋陽の日本総領事館に亡命しようとした北朝鮮の家族5人を暴力的に引き戻したテレビの映像によるものであった(瀋陽総領事館事件)。人民武装警察部隊は、人民解放軍公安(警察)の中間的存在で、現在、150万人以上が中国全土の治安維持に当たっていると推計される。1989年の血の日曜日事件で人民解放軍が人民に発砲して内外非難を浴びた中国当局は、重火器の代わりに軽武装によって治安維持を図る人民武装警察部隊を、当時の約100万人から大量に増強して今日に至っている。人民武装警察部隊は、80年代にトウ小平(トン・シアオピン)が主導した軍近代化計画により600万人の人民解放軍が350万人に削減された結果により出現した治安維持軍だということもできる。指揮系統は国家中央軍事委員会主席(胡錦涛)のもとにある。

(中嶋嶺雄 国際教養大学学長 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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