朝鮮民主主義人民共和国,江原道の東海岸にある都市。人口30万0148(1993)。ソウルから東北朝鮮への入口にあたる交通の要衝であり,かつては咸鏡南道の道都であった。永興湾の湾奥にあり,天然の良港である元山港が日朝修好条規によって1880年に開港された。以後はおもに対日貿易にたずさわり,1914年開通の京元線(ソウル~元山)をはじめ元山基点の鉄道網が整備されると,日本人の大陸や北朝鮮各地への進出の拠点となった。1929年の元山ゼネストは交通・港湾労働者を中心とした全市をあげた労働争議として有名である。解放後の朝鮮戦争では大きな被害をこうむったが,朝鮮戦争後,休戦線以北の江原道と合併され,その道都となった。造船,缶詰など漁業関連の諸工業が集中する日本海漁業の基地である。また,白砂青松の美観を誇る松濤園海水浴場と金剛山観光の登山口として北朝鮮有数の保養地となっている。
執筆者:谷浦 孝雄
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北朝鮮、江原道(こうげんどう/カンウォンド)にあり、永興(えいこう/ヨンフン)湾に臨む都市。1949年江原道が北緯38度線によって分断されたため、元山市を咸鏡南道(かんきょうなんどう/ハムギョンナムド)から分離して江原道に編入し、江原道の政治、経済、文化の中心地とした。港は永興湾の南側に位置し、海洋側に突き出た葛麻(かつま)半島が自然の防波堤をなしている。朝鮮戦争のとき廃墟(はいきょ)に帰し、戦後近代的な都市に再建された。造船所や鉄道工場など多くの中央工業企業体と教育文化機関がある。市の北東方の海辺にある松濤園(しょうとうえん)海水浴場は白砂に覆われ透明度が高く、葛麻半島の砂浜には松林が茂り、カイドウの咲きにおう「明沙(めいさ)十里」として全国的に知られる屈指の名勝地であり、夏の保養地ともなっている。松濤園の裏側に東方式公園が建設されている。
[魚 塘]
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