光輪(読み)こうりん

精選版 日本国語大辞典 「光輪」の意味・読み・例文・類語

こう‐りん クヮウ‥【光輪】

〘名〙
① (「輪」は円満の意。また煩悩を砕くはたらきをたとえていう語) 仏菩薩のからだから発する円満の光。衆生の煩悩を砕く慈悲の光。
三帖和讚(1248‐60頃)浄土「彌陀成仏のこのかたは いまに十劫をへたまへり 法身の光輪きわもなく 世の盲冥をてらすなり」 〔六十華厳経‐二〕
仏像またはキリスト教美術キリストや聖母・天使などの肖像光背のうち、光の輪をかたどったもの。
※とむらい師たち(1966)〈野坂昭如〉「この中の水子に、みな仏様みたいな、光輪をつけたったらどうや」
光源を中心としてできた光の輪。
※或る女(1919)〈有島武郎〉前「煤けた天井に描かれたランプの丸い光輪をぼんやりと眺めてゐた」

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デジタル大辞泉 「光輪」の意味・読み・例文・類語

こう‐りん〔クワウ‐〕【光輪】

キリスト教美術で、キリスト・聖母・天使などの聖性・栄光象徴として頭のまわりに描かれる輪。輪光ニンブス
仏・菩薩ぼさつのからだから発する円満の光。衆生しゅじょう煩悩ぼんのうを砕く智慧の光。
[類語]後光光背円光

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「光輪」の意味・わかりやすい解説

光輪
こうりん
nimbus; halo

聖なるものの頭のうしろに置かれる円光。光背アウレオラともいう。中世キリスト教美術に最も典型的な例をみることができるが,すでに古代より超自然的な崇高さを表わすものとして使われている。エジプトの王には太陽の子としての神格を表わすものとして使用され,ギリシアやローマでは太陽神を表わすのに用いている。ルネサンスの自然主義とともに衰えをみせたが,バロック期以後の宗教美術にも再びみられる。光線として表現されるものもある。仏像にも用いられている。

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世界大百科事典(旧版)内の光輪の言及

【車】より

…これらは天体の運行を示す太陽とかかわる図形で,生命,宇宙,完全,中心,循環,永遠,光明などを表したものと思われる。太陽は,ラテン語では〈鳥輪rota altivolans〉と呼ばれ,北欧神話の〈エッダ〉では〈美輪fagravel〉,ケルト人の間では〈光輪roth fail〉と呼ばれ,いずれも円形または車輪の形で表されていたし,円盤はギリシアの太陽神ヘリオスや,インドの太陽神ビシュヌの持物であった。さらに西ロシア,バルカン,中央ヨーロッパなどから出土する新石器時代の女神像には,渦巻,十字,波形などとともに車輪が印されていることがあり,これらは女性の胸や腰の丸みともかかわる図形で,地母神的な大地の生産力を表し,豊饒(ほうじよう)や再生の象徴であったとされている。…

※「光輪」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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