八面六臂(読み)ハチメンロッピ

デジタル大辞泉 「八面六臂」の意味・読み・例文・類語

はちめん‐ろっぴ〔‐ロクヒ〕【八面六×臂】

仏像などが八つの顔と六つの腕をもつこと。
あらゆる方面にめざましい働きを示すこと。「八面六臂の働き」
[類語]懸命命懸け必死死に物狂い捨て身大わらわ躍起決死不惜身命ふしゃくしんみょう大車輪一所懸命一生懸命全力総力死力渾身入魂全身全霊

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精選版 日本国語大辞典 「八面六臂」の意味・読み・例文・類語

はちめん‐ろっぴ‥ロクヒ【八面六臂】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 八つの顔と六つのひじ
  3. 多方面に目ざましい手腕を発揮すること。ひとりで数人分の働きをすること。三面六臂。〔辞林(明治四〇年版)(1907)〕
    1. [初出の実例]「妻の本職と内職と、八面六臂(ハチメンロッピ)の働きをして」(出典自由学校(1950)〈獅子文六彼女がそう叫ぶには)

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四字熟語を知る辞典 「八面六臂」の解説

八面六臂

多くの方面に目ざましい手腕を発揮すること。ひとりで数人分の働きをすること。

[使用例] 十五歳の女学生先生は大多忙で、学校が終わるとその部屋にとんでゆき、八面六臂の大活躍だった[沢村貞子*貝のうた|1969]

[使用例] ふんがいがひどいと訴えがあれば、はとよけネット―その名も「ポッポ知らず」―を抱えて駆けつけ、飛び降り自殺があったと聞けば、屋上フェンスをより高くして住民の動揺しずめ、八面六臂の大活躍だ[三浦しをん*君はポラリス|2007]

[使用例] 前年むこうくにさんは直木賞を受賞し、T Vの放送作家としても大人気で、まさに八面六臂の大活躍の最中だった[くろがねヒロシ*色いろはな骨牌かるた|2004]

[解説] くしくも、右の三つの例文はすべて「八面六臂の大活躍」の形になっています。全体でひとつの慣用句であるかのようです。
 現代語の例を見ると、「八面六臂の(大)活躍」の形で使われることが大半です。少し前の例では、「八面六臂の働き」といった形が多くなります。こちらの方がより古い言い方でしょう。
 「面」は顔、「」はひじです。「八面六臂」より古い形は「三面六臂」で、『日本国語大辞典』には室町末期~近世初期に「三面六臂」の例があります。
 三つの顔と六つのひじを持つ存在と言えば、それに該当するのは、仏教守り神であるてんです。「三面六臂」は、おそらくその姿から出たことばで、後に数がインフレを起こして「八面六臂」になったものと考えられます。
 中国ではそうだいみんだい頃までに「三頭六臂」「三首六臂」「六臂三頭」などのことばが現れています。意味は「人並み外れた能力」ということです。日本語の場合とは少し異なっています。

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